2009年10月26日月曜日

ねここ無編集百句

十月と二階に兄を思いけり       ねここ
朝顔と家族をくろい家族かな
秋の暮ひかりごとじゃぶじゃぶ中に母
まぼろしと帽子夜寒も傾ぎけり
幸福の手足ごと秋入りけり
妹に夜寒の食べる口車
涙目と家族をつなぐ蜻蛉に影
一階の夜寒へ家族ありにけり
スカートへ夜寒をたくさんバスに私
満月に童話を父へ眠るかな
秋の暮家族へゆっくり中と母
朝顔に睫ゆるす背番号
八月と睫とゆきたい家族に鈴
学校の二階みたいな秋に猫
だいどことしっぽへあかい二階に蜻蛉
順番という蜻蛉みたいな夜の中
少年の蜻蛉をヌードのありにけり
十月に睫を帽子ありにけり
色鳥のシェフを帽子のありにけり
八月とひかり母にゆるすかな
幸福とひよこいっぱい曼珠沙華
スカートと手足ゆっくり曼珠沙華
幸福という夜寒みたいな母の中
口車夜寒夢みるひよこの川
青年に蜻蛉の真水とあびにけり
自転車に夜寒とひかりありにけり
秋の暮ヌードゆるす猫に家族
朝顔へ少女ごとあびる下の帽子
順番に蜻蛉に眠る帽子かな
仁丹に二階夜寒のありにけり
自転車と夜寒の恋を送りけり
ブルドッグひよこへ思うシェフの蜻蛉
階段に姉妹へ蜻蛉のありにけり
曼珠沙華ひよこごとくろい兄に海
満月と磐越西線家族吸う
学校と真水の食べる夜寒かな
幸福に川へ蜻蛉のありにけり
家族行き睫の夢みる月と兄
スカートと真水つかむ夜寒かな
十月と童話へじゃぶじゃぶ家族かな
色鳥ごとひよこみたいな顔にひよこ
仕事柄日記にあかい月に日記
目隠しにひよこをにこにこ秋の暮
黒板に真水ごと蜻蛉つなぎけり
一階と蜻蛉に父へつかみけり
千年に夜寒のくろい私かな
片恋の家族蜻蛉傾ぎけり
千年と姉妹つなぐ曼珠沙華
恋人という二階みたいな月に中
まぼろしに雨と夜寒ありにけり
黒板の姉妹の思う夜寒かな
一階にひよこの足りない蜻蛉かな
妹と真水つなぐ川の魚
朝顔と日記ごとあおい姉妹かな
生まれつき真水のあびる夜に月
生まれつき家族たくさん月としっぽ
秋の暮童話とあびる顔の顔
童話吸い夜寒とじゃぶじゃぶ森と顔
目隠しごと家族へ時々色とひかり
ヌード行き蜻蛉のあびる影の少女
青年へ夜寒ごと濡らす猫に鈴
少年に夜寒つなぐ手足かな
幸福に夜寒と二階のありにけり
盲導犬家族へ送る秋に兄
雨つぶへ真水とたくさん真水と海
幸福ごと帽子傾ぐひかりに二階
階段と夜寒みたいなひよこと朝
十月に帽子と雨を傾ぐかな
少年に少女とつなぐ秋の暮
少年に手足ゆきたい兄に夜寒
上京というひよこみたいな蜻蛉と少女
自転車と猫に夜寒のありにけり
生まれつき蜻蛉ごと歩く色と真水
満月と日記ごとあかい生まれつき
青年ごと夜寒を歩く日記にひかり
幸福に夜寒恋につかみけり
スカートに蜻蛉の影に送りけり
寝入りばなヌードをあおい夜寒と二階
片恋に真水へ蜻蛉ありにけり
曼珠沙華しっぽごとたくさん顔に森
真ん中と昼の蜻蛉のありにけり
順番と童話に蜻蛉へつなぎけり
少年や真水とじゃぶじゃぶ夜と恋
八月に少女ごとじゃぶじゃぶ日記かな
ブルドッグ夜寒へゆるすシェフに色
ヌード吸い夜寒ごとくろいひよこと睫
びしょぬれと二階にゆるす秋の暮
上京と夜寒を鈴と濡らしけり
十月と二階姉妹思うかな
八月という姉妹とゆるす睫に兄
目隠しと蜻蛉あびる猫に家族
順番ごと日記を見ている鈴と月
青年という日記歩く蜻蛉に下
色鳥の朝日記のありにけり
千年とひかりとじゃぶじゃぶ蜻蛉かな
二階吸いひよこをたくさん月と猫
真ん中に少女眠る後の月
自転車やひかりみたいな秋の魚
スカートと童話夢みる森の夜寒
仕事柄睫と眠る鈴の蜻蛉


(俳句自動生成ロボット「ねここ」による無編集無選択百句)

2009年10月25日日曜日

木枯二号無編集百句

はらわたの生姜の白きやうな母    木枯二号
色鳥や忌日に濡らすやうな草
ゆふぞらの手毬に白き曼珠沙華
立ち読みに生姜を洗ふやうな糸
いなびかり忌日を白き丘の色
小鳥吸ひまぶたを死なず馬の父
手鏡の屏風に越えるやうな月
深井戸へ手毬に洗ふ野分かな
曼珠沙華屏風を越える針の北
らふそくにまぶたを紅き膝に袖
色鳥のところの歩く溺れ谷
埋葬やとろ火の濡らすやうな秋
余所見吸ひとろ火に白き盆へ朝
かんてきの柱を盆へ帰りけり
色鳥にこころなかばのところ行く
しろがねに忌日のやうな盆の雨
天井や忌日のやうな秋の北
色鳥に手毬に濤へちぢみけり
忌日焼き小鳥を白き鳥に嘘
針やまへ生姜に黒き昭和かな
算術や生姜の思ふ色の魚
埋葬や小鳥を帰るやうな影
をととひの小鳥を恋に入りけり
色鳥の柱のやうな山に胸
ふるさとや鱗をゆるす西の山
かんてきのかたちのやうな秋の嘘
魂へ野分に糸をつかみけり
まぶた吸ひ生姜を黒き死後へ顔
溺れ谷鏡に入る月へ草
算術の鱗のやうな秋に雨
夜寒行きひかりに眠る昼に糸
溺れ谷蜻蛉を死なず舌に翅
深井戸に屏風に盆を帰りけり
をととひに鏡のゆるすやうな盆
色鳥やざんばら髪を忌日行く
らふそくにとろ火を歩く蜻蛉かな
帝劇へ小鳥に熟るる溺れ谷
色鳥の昭和の昼につかむかな
算術にとろ火のやうな盆へこゑ
色鳥に鱗をゆるすオートバイ
生姜吸ひ忌日につかむ昼へ草
屏風焼きかたちのかへる月へ恋
おほぞらにこころなかばを蜻蛉食ふ
針やまに野分に死なず闇の昼
色鳥のかたちに洗ふやうな髪
色鳥の柱の鬼へ帰りけり
色鳥のざんばら髪をところ焼く
真夜中の盆をところのありにけり
魂の余所見を死なず曼珠沙華
おほぞらの夜寒の洗ふ柱かな
晩年のところを白き曼珠沙華
いなびかり柱につかむふちへ鳥
柱焼き小鳥の白き昼の雲
色鳥にところに熟るる柱かな
色鳥に屏風を黒き手毬かな
かんてきや手毬に洗ふ鬼へ盆
色鳥や柱の帰る夜に丘
蜻蛉吸ひ忌日に濡らす昼に北
捕虫網かたちの帰る秋にもの
柱吸ひ昭和をつかむ月へ馬
冷し桃ひかりの帰る西へわれ
野分行きとろ火をかへる胸の夜
戦前に小鳥に紅き嘘の恋
曼珠沙華かたちにたまる昼に魚
らふそくやこころなかばに小鳥食ふ
太陽やまぶたを眠る月の嘘
違ひ棚野分の紅き朝にもの
真夜中のかたちの洗ふ刑にふち
溺れ谷ところに歩く秋のこゑ
色鳥に忌日にたまるオートバイ
色鳥の忌日に思ふ魚の母
色鳥にかたちに西を帰りけり
ゆふぞらに生姜を黒き捕虫網
手毬行きかたちを濡らす盆へ死後
色鳥の忌日のやうな馬へ鬼
はらわたや余所見を白きふちへ恋
生姜行き柱につかむ糸に舌
魂や屏風の白き朝の月
色鳥の昭和の濤とちぢみけり
算術へ蜻蛉の袖と思ひけり
溺れ谷手毬をかへる翅へ月
色鳥のところのやうな馬の鳥
ゆふぞらに生姜を鬼といぢめけり
ふるさとにまぶたのやうな盆に死後
立ち読みへ夜寒の送る捕虫網
乱読に小鳥の洗ふ髪に馬
手鏡の盆に余所見のありにけり
手鏡に蜻蛉に濤を熟れにけり
冷し桃柱をたまる鳥へ膝
深井戸や昭和に送る髪へ月
天井へ鱗に盆をゆるしけり
捕虫網余所見に送る翅へ盆
戦前の月のひかりのありにけり
小鳥焼き忌日に帰るふちの馬
埋葬の夜寒の胸とちぢみけり
手毬吸ひ生姜のちぢむ丘に糸
色鳥にとろ火に死後へ入るかな
くちびるの蜻蛉を鳥に思ひけり
野分焼き鱗をつかむ恋の濤
蚯蚓鳴くまぶたに帰る膝へ雨


(俳句自動生成ロボット「木枯二号」による無編集無選択百句)

2009年10月24日土曜日

キヨヒロー無編集百句

満月に地球を告げる二人です      キヨヒロー
水晶の映画に睨む葡萄です
美人焼き葡萄を思う午後に川
指先や新酒のような雨のボス
紫蘇の実と女に似合う川の雨
シニフィエと葡萄へ告げる父の風
結婚に記号と眠る刈田かな
ちゃぶ台の刈田をつかむシニフィアン
秋扇鼻毛と怒る神の虚子
指先と葡萄と帰る支配かな
指先の新酒と怖いような妻
紫蘇の実に高層ビルと美人剥く
長き夜の臭いと思う噂かな
色鳥の鼻毛のような川の穴
木犀と絶対君主に映画呑む
満月の写真とつかむ朝の朝
ヘーゲルに刈田と食べるような人
秋風とカレーと眠る御曹司
竜胆へ脱=構築をナイフ焼く
新藁へ記号のような下に水
追悼へ美人を光るような桃
帝国の写真へつかむような秋
出戻りと自分のような秋に神
色鳥や主観を帰る神に昼
ドーナツの地球を怖いお月様
ソバージュに匂いを光る西瓜です
木犀とお尻に怒る酒に雨
戯れの自分の怖い鰯雲
西行の秋思と食べる逃げるんだ
恋人の支配に怒る秋深し
少年の西瓜を帰る人と昼
記号吸い世界を食べる桃の夜
地球剥き離婚をつかむ秋と母
無言焼きやる気につかむ秋の夜
コスモスと笑顔と光るボスと妻
満月に離婚と眠る臭いかな
青年と噂を増える赤蜻蛉
満月へ僕らと帰る雨の影
シニフィエに無言へ入る刈田かな
色鳥と女の増える愛し合う
竜胆の薄着に思う冥王星
密告に案山子を眠るカレーかな
満月と男を増えるナイフです
紫蘇の実やデノテーションにお尻剥く
岬剥き男を歩く秋に妻
世界吸い少女と思う秋と下
指先の自分を思うような桃
自分食い乳房に濡らす秋と夜
少女達岬に似合うキスに秋
世界吸い案山子のつかむ君と川
絶叫と臭いの増えるような秋
コスモスや少女の眠る風に君
二次会と秋思へ怖い握手かな
不眠症世界の入る桃に風
新藁と女へ睨む空にボス
ジンライム臭いと眠る秋の影
写真焼き私の濡らす桃に風
シニフィエの無言のような桃と夜
密告と夜長と光る主観かな
長き夜へ脱=構築を神話剥く
色鳥へ電話に似合う猫の昼
満月の世界をつかむありのまま
木犀の二人のつかむ離婚かな
父母の匂いへ怒る新酒かな
男剥き私のつかむ秋の昼
社会食いやる気を似合う桃と雨
中年の秋思の帰る電話です
手のひらに西瓜のつかむ噂かな
追悼へ僕らを囓る午後に妻
スカートに白髪に入る秋時雨
秋風や握手へ光るような恋
再婚へ噂を帰る刈田です
ボブカット秋思に濡らす午後と顔
女剥き自分を睨む桃と水
ドーナツに西瓜に濡らすボブカット
逃げるんだ新酒と思う影と昼
木犀や電話に光る夜の下
階段と秋思へつかむ男かな
くちづけや新酒と入る映画です
再婚と離婚の歩く秋深し
中年に匂いに入る秋と午後
指先の案山子の帰る自分かな
御曹司鼻毛を光る秋に昼
愛し合う自分に怒る顔に桃
ドーナツとカレーへ囓る桃とキス
シニフィエの明日と入る虚子の桃
恋人の二人と歩く芒原
西行や少女をつかむ穴の秋
お見合いの案山子を歩くオイディプス
コスモスと乳房を似合う不眠症
薄着剥き社会に睨む秋と妻
へそくりと岬のような秋の穴
新藁に自分の増える支配かな
長き夜へ私と帰る二人です
ボブカット案山子の眠る水と人
新藁と少女へ妻に似合うかな
ドーナツへ臭いへ睨むような秋
満月の美人の睨む下に朝
再婚に最後を入る案山子かな
沢庵の夜長の眠る逃げるんだ


(俳句自動生成ロボット「キヨヒロー」による無編集無選択百句)

2009年10月19日月曜日

風景2


その2です。16:9の縦、くせになりそうです。

2009年10月18日日曜日

風景1


コンパクトデジカメを借りて撮ってみました。アスペクトが調整できるのですが、16:9にして縦アングルで撮るとこんな感じ。

2009年10月15日木曜日

french flute music

ひそかに愛聴しているのがこれ。パトリック・ガロワによる二十世紀フランスの比類なく美しいフルート名曲の数々。作曲はプーランク、メシアン、サンカン、ジョリヴェ、デュティユー、ブーレーズ。過激な音響の中でフルートは、抽象化された究極の抒情として訴えかけてくるのである。ピアノのリディア・ウォンも好演。

2009年10月14日水曜日

紅葉の巻

   書き殴るやうに地球に紅葉かな   ざんくろー
     句点を打てる秋のみづうみ     ゆかり

 新たに巻き始めました。みしみし掲示板でやっています。ぜひご参加下さい。

2009年10月13日火曜日

六吟歌仙・銀座線の巻

   秋霖や墨の匂へる銀座線        振り子
     跳ね上がりたる吊革の冷え     ゆかり
   月見酒ひとり身の夜を霏霏として  ざんくろー
     鏡に映る楽器のケース       美代子
   はつなつの尻尾くるりと巻いてをり    苑を
     噴水の輪の痩せてふとつて      ぐみ
ウ  港の見える丘公園のAランチ        振
     なんだか読めぬ黒板の文字       ゆ
   着ぶくれた物理教師の老眼鏡        ざ
     けむりのやうに咲く白椿        美
   虻飛んで市川崑のメガホンへ        苑
     誰ぞささやく草餅いかが        ぐ
   ふたりして泣くはトクホン剥がす時     振
     蚊遣の豚にずつと見られて       ゆ
   からませた指をほどけば月涼し       ざ
     死刑存廃議論再燃           美
   湧き出づる花の雲居に迷ひ込み       苑
     お巡りさんも朝寝好きとか       ぐ
ナオ 亀有のあちらこちらに亀鳴いて       ゆ
     急いで歩く一休禅師          振
   吊橋で翼をつけて変身す          美
     臼井儀人は銀漢となり         ざ
   描きかけの筆洗に散る秋桜         ぐ
     途中下車して夜学に通ふ        苑
   先生のじつに若くて綺麗にて        ゆ
     ワクチンの数足りさうもなし      振
   有耶無耶のままに柚子湯に首浮かし     美
     金魚となりて口をパクパク       ざ
   銀閣寺月よりの使者定宿に         ぐ
     萩を零して駆るオートバイ       苑
ナウ 豆腐屋を追ひ越して行く秋の暮       ゆ
     波立つ海のシルクロードも       振
   ちりめんの半襟の色あれこれと       ぐ
     木魚を叩き逃水の昼          ざ
   千年の花はしづかに吹雪くなり       美
     春の嵐のあとのあかとき        苑

起首 2009年 9月15日(火)23時41分39秒
満尾 2009年10月 9日(金)00時04分29秒
捌き ゆかり

(振り子さんのsatin dollで突発的に始まった連句が満尾致しましたので転載させて頂きました。)

2009年10月12日月曜日

冬の日

2008年秋のやまぐち連句会主催の連句大会における小島のり子さん(fl)の音源を拝聴する。
 句と曲は必ずしも一対一対応ではなく、オリジナルありスタンダードありフリーインプロヴィゼーションありという自由なスタンスとなっている。

  狂句こがらしの身は竹斎に似たる哉 芭蕉
     Easy Come Easy Go(オリジナル)

 発句に付けたのはどこかモンキッシュな小島のり子さんのオリジナル・ブルース。いかにも狂句こがらしの身である。

   たそやとばしるかさの山茶花   野水
     山茶花(オリジナル)

 脇に付けたのも小島のり子さんのオリジナルのワルツ。三拍子上に4つ音を詰め込んで童謡の「さざんかさざんか」の一節を重ねる難しい符割の、危うくもうつくしい曲である。

  有明の主水に酒屋つくらせて    荷兮
     七田(オリジナル)

 第三も小島のり子さんのオリジナル。「七田」というのは私は飲んだことがないが佐賀の名酒らしい。どこかデューク・エリントンの「プレリュード・トゥ・ア・キス」に通じる吟醸香が感じられる。

   かしらの露をふるふあかむま   重五
  朝鮮のほそりすゝきのにほひなき  杜國
   日のちりちりに野に米を苅    正平
     I'm Confessin'

 三句まとめてスタンドナンバー。澁谷盛良さんのベース・ソロをフィーチャーするあたり、いかにも「あかむま」の雰囲気がある。

  わがいほは鷺にやどかすあたりにて 野水
   髪はやすまをしのぶ身のほど   芭蕉
  いつはりのつらしと乳をしぼりすて 重五
   きえぬそとばにすごすごとなく  荷兮
     Zingaro

 四句まとめてスタンダード・ナンバー。初めて聴く曲であるが、哀愁をたたえたボサノバである。

  影法のあかつきさむく火を燒て   芭蕉
   あるじはひんにたえし虚家    杜國
  田中なるこまんが柳落るころ    荷兮
     Wee Small Hours

 アルト・フルートをフィーチャーしたナンバーである。
 
   霧にふね引人はちんばか     野水
  たそがれを横にながむる月ほそし  杜國
   となりさかしき町に下り居る   重五
     Stella By Starlight

 山口友生さんのギターをフィーチャーしたナンバーである。山口友生さんは全編を通じナイロン弦のクラシック・ギターを弾いているが、じつにパワフルな音が胸を打つ。

  二の尼に近衛の花のさかりきく   野水
   蝶はむぐらにとばかり鼻かむ   芭蕉
     Those Spring Days(オリジナル)

 いかにも桜花爛漫な雰囲気のアップテンポなボサノバ・ナンバーである。


  のり物に簾透顔おぼろなる     重五
   いまぞ恨の矢をはなつ声     荷兮
  ぬす人の記念の松の吹おれて    芭蕉
   しばし宗祇の名を付し水     杜國
     Evindence

 名残表は四句まとめてセロニアス・モンクの曲。名残表ともなれば演奏も乗り乗りで大技も繰り出される。

  笠ぬぎて無理にもぬるゝ北時雨   荷兮
   冬がれわけてひとり唐苣     野水
  しらじらと砕けしは人の骨か何   杜國
   烏賊はゑびすの國のうらかた   重五
     Here's That Rainy Day

 雨と言えば、バンド稼業の人は条件反射でこの曲になるのである。


  あはれさの謎にもとけし郭公    野水
     Hototogisu(小島のり子書き下ろし)

 日本情緒ただようナンバーである。ソロはなし。

   秋水一斗もりつくす夜ぞ     芭蕉
     Autumn Water(小島のり子書き下ろし)

 アップテンポのモーダルなナンバーである。このあたり、演奏時間を短く畳みかけて名残表の疾走感がある。

  日東の李白が坊に月を見て     重五
     山口友生書き下ろし

 月の座は山口友生さんの書き下ろし。ソロなし。

   巾に木槿をはさむ琵琶打     荷兮
     山口友生ギターインプロヴィゼイション

 「琵琶打」からインスパイアされたであろう即興演奏である。

  うしの跡とぶらふ草の夕ぐれに   芭蕉
     澁谷盛良ベースインプロヴィゼイション

 アルコによるソロであるが、最後に牛の鳴き声そっくりに演奏し、聴衆にどよめきが起こる。

   箕に鮗の魚をいたゞき      杜國
     小島のり子フルートインプロヴィゼイション

 鮗(コノシロ)は、コハダ。寿司ネタである。このあたり、牛→鮗という句の付け方と、ベースの即興→フルートの即興という演奏の付け方の対比が味わい深い。

  わがいのりあけがたの星孕むべく  荷兮
   けふはいもとのまゆかきにゆき  野水
     You Are Too Beautiful

 ピッコロをフィーチャーしたバラードであるが、ギターのオブリガードも実にうつくしい。

  綾ひとへ居湯に志賀の花漉て    杜國
     山口友生書き下ろし

 花の座も山口友生さんの書き下ろし。ソロはなし。不思議な雰囲気の曲である。

  廊下は藤のかげつたふ也      重五
     Wistaria Flower(小島のり子書き下ろし)

 挙句にふさわしく、いかにも名残り惜しい雰囲気のあるボサノバ・ナンバーである。

アンコール 獺祭
 挙句の果てはアップテンポのオリジナルでこれも日本酒の名にちなんだ曲。パワー全開で豪快に秘技絶技を次から次へ繰り出す。やはりジャズ・ミュージシャンは落とし前をつけないと終わらないのである。

 この演奏を生で聴けてしかも連句を巻けるなんて、この世のものとは思えない贅沢三昧である。桃源郷である。すごいぞ、やまぐち連句会。

(2008年秋のやまぐち連句会の催しについて、別のところに書いた記事を転載しました。)

2009年10月11日日曜日

連句しませんか。vol.2

という冊子を頂く。
 やまぐち連句会というところが編集・発行しているもので、第2回山口県総合芸術文化祭「連句大会」の記録集である。この連句大会がいかにすごいかというと、単に愛好家が集まって歌仙を巻くのにとどまらず、なんとジャズ・ミュージシャンを招き、芭蕉の「冬の日」にインスパイアされたライヴ演奏を実現させているところである。
 ジャズと連句は非常に似たところがある。どちらも即興性を重んじ、出会いを大切にし、文台おろせばすなはち反古というその場限りの集中力といさぎよさがある。
 冊子を読んでいると、小島のり子さん(fl)、澁谷盛良さん(b)、山口友生さん(g)によるジャズ演奏が違和感なく連句愛好家に受け止められた様子が伝わってくる。

 それにしてもハードである。一泊二日の日程の二日目午前中がライヴ、引き続き11:30~15:30に連句実作会というのはかなりの強行軍なのではないだろうか。そのようにして巻かれた半歌仙10巻、歌仙1巻、箙(不明。裏と名残表が6句ずつから成っている)1巻、正式十句合1巻が冊子には収録されている。上記ジャズ・ミュージシャンも参加しているし、中には9歳の男の子がお母さんと連句初体験しましたというほほえましい注記もある。

 このようにして、連句もジャズも脈々と伝えられている。

(2008年秋のやまぐち連句会の催しについて、別のところに書いた記事を転載しました。)

2009年10月10日土曜日

キヨヒロー

もう一体ロボットを作りました。
キヨヒロー

 副産物として、ねここ木枯二号も句型を増強しています。

 以後、違う発想でもない限り、俳句自動生成ロボットには関わらないことにしようと思います。

2009年10月5日月曜日

橋本多佳子の光

 橋本多佳子は、人一倍「光」に敏感な作家だったと思います。

月光にいのち死にゆくひとと寝る   多佳子
雪原に遭ひたるひとを燈に照らす
月が照り雪原遠き駅ともる
霧を航き船晩餐の燈を惜しまず
羅針盤平らに銀河弧をなせり
燈ともして梅はうつむく花多き
春月の明るさをいひ且つともす
簾戸入れて我家のくらさ野の青さ
病み伏して夜々のいなづま身にあびる
猫歩む月光の雪かげの雪
水鳥の沼が曇りて吾くもる
いまありし日を風花の中に探す
林檎買ふ旅の足もと燈に照らされ
星空へ店より林檎あふれをり
万燈のどの一燈より消えむとす
つまづきて修二会の闇を手につかむ
ゆきすがる片戸の隙も麦の金
一ところくらきをくぐる踊の輪
いなびかり遅れて沼の光りけり
いなびかり北よりすれば北を見る
いなづまのあとにて衿をかきあはす



月一輪凍湖一輪光りあふ」の絶唱も忘れられません。

(以前MIXIのコミュに書いた記事の転載)

2009年10月3日土曜日

ねここと木枯二号の移転

作った早々ですみませんが、広告があまりにも目障りだったので、移転します。

ねここ

木枯二号

よろしくお願いします。