2014年9月27日土曜日

七吟『赤毛のアン』歌仙 花野の巻

掲示板で巻いていた連句が満尾。 

   花野ゆく馬車に赤毛の少女かな  らくだ
    約束のごと秋のゆふぐれ    ゆかり
   月の出に切妻屋根の静まりて    ぐみ
    はじめて貰ふギンガムの服     令
   想像を詰めてふくらむバスケット  苑を
    小舟流れて遠い海まで       河
ウ  ロマンスの岸辺にいつか灯は点り   七
    石盤割つて学校を去る       だ
   たちまちのうちに野心の地平線    り
    決して飽きぬ虹の色合ひ      み
   礼拝の帽子に野薔薇かざりたる    令
        負けず嫌ひの天使が墜ちて          を
   病む人にひたすらに射す冬の月    河
    終はることなき林檎の並木     七
   お茶会でお茶も飲まずに酔つ払ひ   だ
    毎週ひとつ物語書く        り
   紫の水晶ここよと花ひらり      み
    小径を抜けるあたたかな風     令
ナオ 振り向けば丘も農夫も陽炎へり     を
    夏のあひだを遊び呆けて      河
   まぼろしはいつもかなはぬ夢を見せ  七
    徹底的に髪を切られる       だ
   きつとよいものだと思ひ角曲がる   り
    ぐんぐん伸びる十五の背丈     み
   代数に幾何ラテン語に英国史     令
    本をひらけば九月の匂ひ      を
   身に入みてオートミールの煮加減も  河
    金風わたりお喋りばかり      七
   月明かり招く客用寝室へ       だ
    がうがう燃やし湧かす熱湯     り
ナウ くゆらせるパイプの煙と波長合ひ   み
    ちやうちん袖は白銀に映ゆ     令
      からつぽの子供部屋てふ黄昏に        を
    遠く友の灯蝶々のごと       河
   エルフィンとゴブリンもゐる花の森  七
    恋人たちの小径うららか      だ


起首:2014年 8月23日(土)14時20分43秒
満尾:2014年 9月27日(土)14時37分5秒
捌き:三島ゆかり

2014年9月1日月曜日

七吟歌仙・日盛の巻

掲示板で巻いていた連句が満尾。 

   日盛をわたる真白き機体かな      ぽぽな
    網引くやうに夏の物音        ゆかり
   目覚めれば朝餉支度の母がゐて    まにょん
    摘まみてちぎるバジル三枚       玲奈
   満月に小気味よきほどビルの影      銀河
    馬肥ゆる地のあたりに及ぶ       ぐみ
ウ  水澄んで行きつ戻りつ誰が声        七
    逢ひにゆくことパパには内緒       な
   神様とGPSがついてゐる         り
    スプートニクのライカは哀し       ん
   描きかけのカンバスに差す冬の月      奈
    似てゐるやうで似てゐない眉       河
      モスラには琵琶湖一気に呑み干され     み
    にはかに上がるBMI値         七
   春寒の運動靴の紐むすぶ          な
    双子ころがる日永の堤          り
   ふるさとを思へば遠き花の夜        ん
    改修中のからくり時計          奈
ナオ こつこつと窓を敲いて小鳥来る       河
    たゆまず励む綱取りの秋         み
   懸賞に当たり新酒を酌み交はす       七
    ロバートデニーロは左利き        な
   オーボエの調べに乗せる頭蓋骨       り
    金毘羅宮の長き石段           ん
   土踏まずまだ無き吾子に靴を買ふ      奈
    ここでは犬が泳いでもいい        河
   綱吉の墓をたづねる歴女たち        み
    明日は湯島のカルチャ-センタ-     七
   月光のスマホの声はぎこちなく       な
    案山子に詰めるあをき脳味噌       り
ナウ 爽やかに気球は恋の唄を乗せ        ん
    君と暮らした街を横切る         奈
   てのひらにはらりと受けるぼたん雪     河
    運命線で入試うらなひ          み
   ぬかるみを歩めば花の開く音        七
    夢もうつつも春のきらめき        な

  

起首:2014年 7月26日(土)
満尾:
2014年 9月 1日(月) 

捌き:ゆかり