掲示板で巻いていた連句が満尾。
二度三度橋をくぐりて帰燕かな まにょん
釣瓶落としの歪む輪郭 ゆかり
月明に子規の色紙を取り出して 銀河
飛球・走者と文字なぞりつつ ぐみ
神宮の森に復員兵集ふ なむ
夜店に並ぶ義足や義眼 七
ウ 離岸流切り分けてゆくクロールの 泥酔
姫の敷布をそつと抱きしめ ん
天鵞絨の襟に埋める泪顔 り
一角獣は犀の眷属 河
洞穴の壁画に狩の息づかひ み
石蠟に似て凍空の月 む
たましひの容れものはみな不定形 七
方円となる酒は上善 酔
裏庭に七賢おはす朧にて ん
たかまつてゆく春のオルガン り
窓外のいよよ明るむ花ふぶき 河
カーテン揺れて金魚ひらりと み
ナオ 夜の襞へ苔清水浸み入る如し む
遠く近くに覚ゆる吐息 七
後ろ髪結ひあげかねつきぬぎぬは 酔
第五レースではや素寒貧 ん
降る雪が良貨も悪貨も駆逐する り
噴火噴煙やつと已むとも 河
煮詰まりしどぜう鍋なりどうしやう み
行方不明のをととひと肚裡 む
迷ひこむ九龍城は深い秋 七
截拳道の師父冷まじく 酔
墓石に鋭き月の光射し ん
猿が太鼓を叩く始まり り
ナウ 顔見世に若手役者の勢ぞろひ 河
改築済んで横文字ふやし み
止り木を降りて喫煙席探す む
春の水踏む公園通り 七
まなじりに帯に小袖に花尽くし 酔
空を畏れず溢れ出る蝶 ん
起首:2013年 9月18日(水)
満尾:2013年11月 4日(月)
捌き:ゆかり