長き夜の韃靼人の踊りかな りゑ
後の月にはのちのしづかさ 三島
とりどりに拾ふ橡の実などありて 詠犬
私語の聞こえる教壇にたつ ハク
それつぽく髪を乱して白手套 西生
風力計も折れんばかりに 天気
ウ 欠航を告げられてゐる不倫行 真人
袖すり合ふも蛸壺の縁 ゑ
暗がりに眠る天文科学館 島
いちご畑にジョン・レノン立つ 犬
Dm-E-C-Eと弾きつづけ ク
だんだんずれるネクタイの柄 生
縊死の木の下に始まる名推理 気
力学を説く前歯欠けたる 人
トム猫がジェリーを攫ふ月朧 ゑ
知らない町を歩くお彼岸 島
花冷えの永楽銭の穴四角 犬
聞かず顔にて長煙管とり ク
ナオ 土曜日の綺麗な靴の逃亡者 生
グエンカオキの曾孫と名乗る 気
怪しげな投資顧問の事務所にて 人
ゼムクリップは炎の匂ひ ゑ
手作りの詩集の並ぶ棚二段 島
インスタグラムに朗読の声 犬
新郎は落研にゐたこともあり ク
首を振るたび違ふ横顔 生
路地裏を鈴の音よぎる今朝の秋 気
暑中見舞を出しそびれたる 人
宙返りして見る月も丸かつた ゑ
崩れ簗ある三半規管 島
ナウ 中年の独り言聞く夜の坂 犬
酒のにほひが雪を降らせる ク
人柄で保たれてゐる鯛焼屋 生
瀬戸内海を航(わた)る佐保姫 気
水軍の裔ともどもに花の宴 人
風船乗りは西へ東へ ゑ
起首:2019年10月13日(日)
満尾:2019年10月28日(月)
2019年10月28日月曜日
2019年10月27日日曜日
七吟歌仙 自然薯の巻
自然薯の自我肥大たる湿度かな なむ
生きて腸まで届く山かけ ゆかり
満月を横切る貨車は音たてて れいこ
ページの焼けた擬声語辞典 槇
ポラロイドカメラが彼をひらきだす トキ
雲形定規に物語あり 洋子
ウ 眉太く描いて待ちをる鶴女房 槐
見るなと云へど閨の特権 む
入道のこんなところに手が墨が り
天守閣から下す釣り糸 こ
えきそばに芒種の月をトッピング 槇
つゆの向うへ平泳ぎする キ
手も足も銀紙のやう夢のやう 子
薄氷を踏む新品の靴 槐
ゆかしくもなにやら蕗の薹立ちて む
三十路つどへる午後ののどけさ り
大阪のおつちやんたちと花の下 こ
胸ポケットに仁丹のある 槇
ナオ 凍て星の粒のひとつをJAXA指す キ
ブラックホールといふ叙情詩 子
約束の二時にどこでもドアの前 槐
いやだおとなになりかけてゐる む
つぎつぎに猫が木となる猫の森 り
つんつんしたり丸くなつたり こ
モヒカンをおつ立てたまま死ぬつもり 槇
等身大のパンが焼かれて キ
なま肉に塩胡椒ふるタイミング 子
CMあけてすいつちよの鳴く 槐
箱に箱積んで月光裡の路肩 む
木犀の香のことに激しき り
ナウ 乾杯のグラスにどなたかの指紋 こ
金田一来て頭を掻いて 槇
あはゆきの音韻としてあらはるる キ
鳥帰る日のふるき木の椅子 子
花守もふらと加わる花の昼 槐
羽化する蝶のごとくまどろむ む
起首:2019年10月16日(水)
満尾:2019年10月27日(日)
生きて腸まで届く山かけ ゆかり
満月を横切る貨車は音たてて れいこ
ページの焼けた擬声語辞典 槇
ポラロイドカメラが彼をひらきだす トキ
雲形定規に物語あり 洋子
ウ 眉太く描いて待ちをる鶴女房 槐
見るなと云へど閨の特権 む
入道のこんなところに手が墨が り
天守閣から下す釣り糸 こ
えきそばに芒種の月をトッピング 槇
つゆの向うへ平泳ぎする キ
手も足も銀紙のやう夢のやう 子
薄氷を踏む新品の靴 槐
ゆかしくもなにやら蕗の薹立ちて む
三十路つどへる午後ののどけさ り
大阪のおつちやんたちと花の下 こ
胸ポケットに仁丹のある 槇
ナオ 凍て星の粒のひとつをJAXA指す キ
ブラックホールといふ叙情詩 子
約束の二時にどこでもドアの前 槐
いやだおとなになりかけてゐる む
つぎつぎに猫が木となる猫の森 り
つんつんしたり丸くなつたり こ
モヒカンをおつ立てたまま死ぬつもり 槇
等身大のパンが焼かれて キ
なま肉に塩胡椒ふるタイミング 子
CMあけてすいつちよの鳴く 槐
箱に箱積んで月光裡の路肩 む
木犀の香のことに激しき り
ナウ 乾杯のグラスにどなたかの指紋 こ
金田一来て頭を掻いて 槇
あはゆきの音韻としてあらはるる キ
鳥帰る日のふるき木の椅子 子
花守もふらと加わる花の昼 槐
羽化する蝶のごとくまどろむ む
起首:2019年10月16日(水)
満尾:2019年10月27日(日)
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