掲示板で巻いていた連句が満尾。
夏の野にあれば尾をもつ女かな まにょん
玻璃のまなこで鎮める泉 ゆかり
樹の杳き鼓動を斧に響かせて なむ
こだまの過ぎし線路秋めく ぐみ
月光の街は水族館となり 苑を
虫聴きにゆく人の集まる 令
ウ 掃除機のコードひゆるりと巻き取られ 恵
消防男子に焦がれて燃える ん
流体も波動も愛の方程式 り
指先で解く紐のいろいろ む
なりはひに辞書編み趣味に竹を編み み
好きこそものの上手でもなし を
出奔の果ての紙子を照らす月 令
すつぽん鍋の最初の生血 恵
眠るのがこはくて聖書読んでをり ん
囁きあへる数多なる母 り
間引かれしゆゑに滂沱の花散らむ む
春雨ぢやとは言へぬ道行 み
ナオ 朝寝して二人どうでもよくなりぬ を
裏書の銘うそかまことか 令
優勝の記念の手形黒々と 恵
古老ひつそり羊と暮らす ん
恩讐のくちびる遠きまで届く り
滝壺に彫る不動明王 む
護符よけて厨の守宮すつと消え み
ポップコーンは跳ねて飛び散る を
メール打つ姉と本読む妹と 令
叶ふ願ひを自らつぶす 恵
月光のあふれ狂ひし村ひとつ ん
焼き払つてはしのぐ夜寒よ り
ナウ 風立つをいまと定めて雁の列 む
雪すら友にいざ生きめやも み
極北の小屋に洗濯物を干す を
苞のなかから出だす土雛 令
掌に受くる間もなく飛花天へ 恵
蝶の道なら辿りゆくべし ん
起首:2014年 5月27日(火)
満尾:2014年 7月 2日(水)
捌き:ゆかり