掲示板で巻いていた連句が満尾。
夜汽車いま枯野をはしる汽笛かな 媚庵
窓の結露にポマードの跡 ゆかり
銀幕の男は銜へ煙草して 苑を
パチンコ台に秋の涼しさ ぐみ
工場の石塀つづく月明り 庵
休む間もなく匂ふ木犀 り
ウ 走つても走つてもまた同じ場所 を
はつかねずみを少女目で追ひ み
桟橋のヨット真っ赤に塗りかへて 庵
還暦といふこそばゆきもの り
膝枕して耳掻きを待つてをり を
焦らされて知る山の頂 み
普羅の句を九十九句暗唱す 庵
残りひとつに急かされもして り
靴脱げばひだり縞柄みぎは無地 を
草間彌生の水玉に飽き み
駅前にサラ金ならぶ花の雲 庵
春風に乗り逃げるのは今 り
ナオ 迷ひたる偽遍路かと鈴の音 み
生きものもゐる遺失物棚 を
傘といふ傘神宮の宙を舞へ り
青嵐吹く午後の城跡 庵
カステラの名前の由来短夜に み
3時のあなたを知つてますか を
逢ひみての後もころころしてゐたる り
母の形見の歌留多の絵札 庵
漱石の髭のみ財布より抜かれ み
鏡磨くに袖を使ひて を
満月はまつたきままに剥落す り
アポロ計画はるかなる秋 庵
ナウ 東西の神話ひもとく文化の日 み
はしばみ色に翳る山々 を
腹這ひの台車から撮る脚線美 り
五番街まで燭台はこぶ 庵
外つ国の人のほどけて花吹雪 み
かひやぐらとは見果てぬ夢か を
起首:2016年11月21日(月)
満尾:2016年12月15日(木)
捌き:ゆかり
0 件のコメント:
コメントを投稿