掲示板で巻いていた連句が満尾。
六吟歌仙 さながらにの巻
さながらに落ちゆく鮎のながめかな ざんくろー
崩れ簗には億のたましひ ゆかり
有明の月に福助頭を下げて 痾窮
ふつと目をやる鏡台のうへ 七
ぷるぷるとサプリメントの効き目あり 銀河
冷蔵庫から琥珀のゼリー 苑を
ウ 真鶴のつがふ到達不能極 ー
二億六千年前の海 り
頂上に化石見つけるパリサイ人 窮
バベルの塔を登り続けて 七
タラの芽をまづ撮つてから御飯ですよ 河
シャガール色に染まるきさらぎ を
淡月の幽かな記憶届けられ ー
ひたと寄り添ふ送り狼 り
玄関に熊の親父の懐手 窮
山姥の呼ぶ声木霊して 七
長月のここ豪州に三分咲き 河
珍種の虫に生まれ変はりぬ を
ナオ ゆふぐれの危険を灯し烏瓜 り
足早になる呪文を唱ふ ー
ハンプティダンプティどこここはだれ 七
真夜のお城の長ききざはし 窮
国道を北へ向かつてひた走る を
凍土のゆるむ日も来たりなん 河
東郷といふ麦酒にて乾杯し り
幸と不幸を満たす撃鉄 ー
島々の棚田を染める秋夕焼 七
蛤となる雀をかしき 窮
猫の目に波にただよふ月を見る 七
毒とおもふな石見銀山 河
ナウ 語り部の背から雪の降りはじむ を
赤いショールと乙女の因果 ー
占ひのテレビを消して家を出る り
つちふる中をざわめく鴉 窮
夜の花の近づくほどに遠のきて を
元気をもらふ丘のはるかぜ 河
起首:2010年11月 3日(水)18時27分51秒
満尾:2010年12月 3日(金)07時13分55秒
捌き:ゆかり
2010年12月3日金曜日
2010年10月29日金曜日
六吟歌仙・虫の音の巻
掲示板で巻いていた連句が満尾。
六吟歌仙・虫の音の巻
虫の音の堆積したる地層かな ざんくろー
とろみを帯びて白き銀漢 ゆかり
指先で月を西へと引き寄せて あとり
南船北馬風の吹くまま ぐみ
春遅々と音の割れたる蓄音器 ー
笑へる山に投げるかはらけ ゆ
ウ 三姉妹喋りでしやばりたまや吹き あ
上海の夜のシャンパンの泡 み
纏足の靴に魅入られ路地の奥 七
いけない君が身繕ひする のかぜ
バオバブの木の下でする初キッス ー
根を張つてゐる仙腸関節 ゆ
標本の鰭きよらかに夏の月 あ
学究肌で趣味は聞香 み
灰形の景色に蝶の舞ひ降りて 七
風が撫でるよ草青む野辺 ぜ
薄紅に微笑み花の帰る頃 ー
負けてくやしいじやんけんロボット 七
ナオ ゆふぐれをパイナツプルと駆け上がる ゆ
カタリナ飛行艇の着水 あ
セイレンのま白きレース寄せ来たり ぜ
祈りに似たる毛糸編むさま み
谷に降る雪を眺めて一人酒 七
雛の使ひは赤めいた鼻 ぜ
みいちやんが歩き続けて百千鳥 ゆ
春蝉の弾く変ロ短調 ー
おしなべて男同士の捕虫網 み
菊人形に誘はれてゐる あ
金銀糸錦の衣映す月 ぜ
絵皿を揃へ色鳥を待つ 七
ナウ けもの道なすこともなく猫来る ゆ
窓ふるはせてお琴の稽古 ー
汀にて韻を拾へるうたの海 ぜ
眠い眠いと笊の飯蛸 あ
東雲の呼気に吸気に花開く み
発光体の春野なりけり 七
起首:2010年 9月19日(日)
満尾:2010年10月29日(金)
六吟歌仙・虫の音の巻
虫の音の堆積したる地層かな ざんくろー
とろみを帯びて白き銀漢 ゆかり
指先で月を西へと引き寄せて あとり
南船北馬風の吹くまま ぐみ
春遅々と音の割れたる蓄音器 ー
笑へる山に投げるかはらけ ゆ
ウ 三姉妹喋りでしやばりたまや吹き あ
上海の夜のシャンパンの泡 み
纏足の靴に魅入られ路地の奥 七
いけない君が身繕ひする のかぜ
バオバブの木の下でする初キッス ー
根を張つてゐる仙腸関節 ゆ
標本の鰭きよらかに夏の月 あ
学究肌で趣味は聞香 み
灰形の景色に蝶の舞ひ降りて 七
風が撫でるよ草青む野辺 ぜ
薄紅に微笑み花の帰る頃 ー
負けてくやしいじやんけんロボット 七
ナオ ゆふぐれをパイナツプルと駆け上がる ゆ
カタリナ飛行艇の着水 あ
セイレンのま白きレース寄せ来たり ぜ
祈りに似たる毛糸編むさま み
谷に降る雪を眺めて一人酒 七
雛の使ひは赤めいた鼻 ぜ
みいちやんが歩き続けて百千鳥 ゆ
春蝉の弾く変ロ短調 ー
おしなべて男同士の捕虫網 み
菊人形に誘はれてゐる あ
金銀糸錦の衣映す月 ぜ
絵皿を揃へ色鳥を待つ 七
ナウ けもの道なすこともなく猫来る ゆ
窓ふるはせてお琴の稽古 ー
汀にて韻を拾へるうたの海 ぜ
眠い眠いと笊の飯蛸 あ
東雲の呼気に吸気に花開く み
発光体の春野なりけり 七
起首:2010年 9月19日(日)
満尾:2010年10月29日(金)
2010年10月23日土曜日
伊藤白潮句集『ちろりに過ぐる』
新旧お構いなしに読むので、今となっては入手困難な句集について書くこともあるかも知れませんが、今回読んだのは、故伊藤白潮の第五句集『ちろりに過ぐる』(角川書店 2004年)。
この句集、おおいにはまりました。一句一句がずどんと来ます。また、曰く言い難い諧謔がたまりません。句集は、四季により青陽の章、朱明の章、白蔵の章、玄帝の章に分かれ、さらにその中が平成八年から平成十二年に分かれるという、ちょっと変わった構成になっています。
さっそく青陽の章から見て参りましょう。
一川の遡上をゆるす斑雪の野 伊藤白潮
遡上しているのは作者の視線でしょう。雪の残る野のゆるい景の中、川がきらきらと下流から上流に向かって見渡せる、そんな感じだと思いますが、音の響きが絶妙で、「いっせんのそじょう」という漢語の厳しい響きと「はだれのの」という和語のゆるさの対比が生き、なによりも「ゆるす」の措辞が絶妙です。
接木して晩節全うするごとし
菊根分その他一切妻任せ
園芸の趣味があったのでしょうか。ものすごく集中する部分とそれ以外のありようが、じつに人間くさくて楽しいです。
桜恋ひ症候群をこじれさす
夜桜をくぐり血小板減らす
なんなのでしょう、この医学用語の詩的利用。「桜恋ひ症候群」という造語が楽しく、「血小板」の句に至っては、なんだか分からない妖しさがあります。それとも怪我をしただけなのかな。
逃水を割り込ませゐる車間距離
逃水も女も追ふに値ひせり
このあたり、じつに言い難い諧謔を感じます。
書斎派の夜は居酒屋派春一番
阿乎乃太と品書きされし岬亭
お酒の句がずいぶんあります。お好きだったのでしょう。じっさいそう品書きにそうあったのでしょうけれど、阿乎乃太は何? あおぬた?
(続く)
この句集、おおいにはまりました。一句一句がずどんと来ます。また、曰く言い難い諧謔がたまりません。句集は、四季により青陽の章、朱明の章、白蔵の章、玄帝の章に分かれ、さらにその中が平成八年から平成十二年に分かれるという、ちょっと変わった構成になっています。
さっそく青陽の章から見て参りましょう。
一川の遡上をゆるす斑雪の野 伊藤白潮
遡上しているのは作者の視線でしょう。雪の残る野のゆるい景の中、川がきらきらと下流から上流に向かって見渡せる、そんな感じだと思いますが、音の響きが絶妙で、「いっせんのそじょう」という漢語の厳しい響きと「はだれのの」という和語のゆるさの対比が生き、なによりも「ゆるす」の措辞が絶妙です。
接木して晩節全うするごとし
菊根分その他一切妻任せ
園芸の趣味があったのでしょうか。ものすごく集中する部分とそれ以外のありようが、じつに人間くさくて楽しいです。
桜恋ひ症候群をこじれさす
夜桜をくぐり血小板減らす
なんなのでしょう、この医学用語の詩的利用。「桜恋ひ症候群」という造語が楽しく、「血小板」の句に至っては、なんだか分からない妖しさがあります。それとも怪我をしただけなのかな。
逃水を割り込ませゐる車間距離
逃水も女も追ふに値ひせり
このあたり、じつに言い難い諧謔を感じます。
書斎派の夜は居酒屋派春一番
阿乎乃太と品書きされし岬亭
お酒の句がずいぶんあります。お好きだったのでしょう。じっさいそう品書きにそうあったのでしょうけれど、阿乎乃太は何? あおぬた?
(続く)
2010年9月9日木曜日
お祝ひ歌仙・点るの巻 満尾
掲示板で巻いていた小林苑をさん句集『点る』上梓お祝ひ脇起し歌仙・点るの巻が満尾しました。
遡るやうに夜店の点りけり 苑を
水風船の決めかねる色 ゆかり
ぽつぽつと五線に音符書き込みて 七
顔出してゐる可愛い悪魔 ぽぽな
月高く肝胆照らしあふ仲を 銀河
しろがねの文字菊の香りも ぐみ
ウ てのひらにいのちのやうに蓮の露 七
祝言之儀の山粧ひて ざんくろー
ご馳走が運ばれるたび平らげる な
ギネスブックに名をとどろかせ 河
透ける紙表紙にかけていとほしむ み
夏の月借り栞にしませう 七
雨夜でもなきををのこの四人(よたり)寄り 令
猫ぢや猫ぢやが踊りたくなる り
幽霊も名のりを上げて出でたりし のかぜ
中央線にて時空超えむと み
隕石の落ちたるといふ花の森 河
春の苺を妹と摘む 七
ナオ 覗きこむ三稜玻璃に光る風 令
いちめんのあを耶蘇教のそら ぜ
水無月は感情論で流されて ー
えんやこら今夜も棹をさす り
メケメケの面影いづこ黄色髪 み
四分の一は父の父の血 り
永遠にこの日の八時十五分 河
混める通学バスに抱きあふ 令
一途なる恋の終点見当らず み
お辞儀の多きハンドパペット ぜ
夕暮のテーマパークに月ありて な
鞄いつぱい鰯雲詰め 七
ナウ 旅に出て柴又思ふ秋の末 み
凍る銀河に犬橇の道 河
外套のフードに隠す編み巻毛 ぜ
卒業したら都会に行くの な
約束を封印したる花ひとひら を
遺伝子により生まれつぐ蝶 ー
起首 2010/07/03
満尾 2010/09/09
捌き 三島ゆかり
遡るやうに夜店の点りけり 苑を
水風船の決めかねる色 ゆかり
ぽつぽつと五線に音符書き込みて 七
顔出してゐる可愛い悪魔 ぽぽな
月高く肝胆照らしあふ仲を 銀河
しろがねの文字菊の香りも ぐみ
ウ てのひらにいのちのやうに蓮の露 七
祝言之儀の山粧ひて ざんくろー
ご馳走が運ばれるたび平らげる な
ギネスブックに名をとどろかせ 河
透ける紙表紙にかけていとほしむ み
夏の月借り栞にしませう 七
雨夜でもなきををのこの四人(よたり)寄り 令
猫ぢや猫ぢやが踊りたくなる り
幽霊も名のりを上げて出でたりし のかぜ
中央線にて時空超えむと み
隕石の落ちたるといふ花の森 河
春の苺を妹と摘む 七
ナオ 覗きこむ三稜玻璃に光る風 令
いちめんのあを耶蘇教のそら ぜ
水無月は感情論で流されて ー
えんやこら今夜も棹をさす り
メケメケの面影いづこ黄色髪 み
四分の一は父の父の血 り
永遠にこの日の八時十五分 河
混める通学バスに抱きあふ 令
一途なる恋の終点見当らず み
お辞儀の多きハンドパペット ぜ
夕暮のテーマパークに月ありて な
鞄いつぱい鰯雲詰め 七
ナウ 旅に出て柴又思ふ秋の末 み
凍る銀河に犬橇の道 河
外套のフードに隠す編み巻毛 ぜ
卒業したら都会に行くの な
約束を封印したる花ひとひら を
遺伝子により生まれつぐ蝶 ー
起首 2010/07/03
満尾 2010/09/09
捌き 三島ゆかり
2010年9月4日土曜日
お祝ひ歌仙・夕立の巻 満尾
掲示板で巻いていた月野ぽぽなさん現代俳句協会新人賞受賞お祝ひ脇起し歌仙・夕立の巻が満尾しました。
一心に空の崩れる夕立かな ぽぽな
青汁となる刈りたての草 ゆかり
晴ればれとピアノに向ふ人ありて ぐみ
色なき風をつかまへる指 苑を
逆立ちに見る月のなほまどかなる 令
運動会の明日がたのしみ 銀河
ウ おむすびも私の母と父の母 のかぜ
箸さへ忘れただ二人きり み
あらぬとこくすぐる睫毛とれかかり AQ
ががんぼのごと果ててしまへり り
大空といふ天井に月涼し な
第七官界彷徨うてみる 七
標識のこのまま行けば教会に 河
積もれる罪は爪で剥ぎ取り ぜ
ゆでたまご乗せてサラダを元気にす を
恋患ひの二月礼者は ざんくろー
向き合うてたちまち匂ふ花衣 を
紐ひいて消す春の電灯 り
ナオ プードルと五番街へと足早に み
やつと見つけた明日のスターさ 河
どこまでも青信号が続きます 七
子らの歌声つつむ寒晴 令
やはらかき日に鴬のぎこちなく AQ
春を動かすからくり時計 を
東風吹かば調律師呼ぶピアニスト 七
眠れる森の獅子を起こせよ み
谷川に紅葉黄葉と湧きかへり 河
祝ひの膳のために剥く栗 を
月の野の宴にぽぽと鳴る鼓 み
白い化粧をみんなしてゐる な
ナウ お豆腐に鎹(かすがひ)かけてとどまりぬ ぜ
一字あたへて店開かせる 河
雪豹の足跡辿る冒険譚 七
はやる心に晴れ渡る空 AQ
神々の代よりたゆまず花愛でて な
記憶をゆるす夜のふらここ ー
起首 2010/07/19
満尾 2010/09/04
捌き 三島ゆかり
一心に空の崩れる夕立かな ぽぽな
青汁となる刈りたての草 ゆかり
晴ればれとピアノに向ふ人ありて ぐみ
色なき風をつかまへる指 苑を
逆立ちに見る月のなほまどかなる 令
運動会の明日がたのしみ 銀河
ウ おむすびも私の母と父の母 のかぜ
箸さへ忘れただ二人きり み
あらぬとこくすぐる睫毛とれかかり AQ
ががんぼのごと果ててしまへり り
大空といふ天井に月涼し な
第七官界彷徨うてみる 七
標識のこのまま行けば教会に 河
積もれる罪は爪で剥ぎ取り ぜ
ゆでたまご乗せてサラダを元気にす を
恋患ひの二月礼者は ざんくろー
向き合うてたちまち匂ふ花衣 を
紐ひいて消す春の電灯 り
ナオ プードルと五番街へと足早に み
やつと見つけた明日のスターさ 河
どこまでも青信号が続きます 七
子らの歌声つつむ寒晴 令
やはらかき日に鴬のぎこちなく AQ
春を動かすからくり時計 を
東風吹かば調律師呼ぶピアニスト 七
眠れる森の獅子を起こせよ み
谷川に紅葉黄葉と湧きかへり 河
祝ひの膳のために剥く栗 を
月の野の宴にぽぽと鳴る鼓 み
白い化粧をみんなしてゐる な
ナウ お豆腐に鎹(かすがひ)かけてとどまりぬ ぜ
一字あたへて店開かせる 河
雪豹の足跡辿る冒険譚 七
はやる心に晴れ渡る空 AQ
神々の代よりたゆまず花愛でて な
記憶をゆるす夜のふらここ ー
起首 2010/07/19
満尾 2010/09/04
捌き 三島ゆかり
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