2015年1月26日月曜日

七吟歌仙・狼の巻

掲示板で巻いていた連句が満尾。

   狼のお腹のなかの羊かな     まにょん
    闇にきらめき春を待つ水     ゆかり
   人品は名のある酒のごとくにて    銀河
    笠を目深に都の大路        月犬
   月青くもつれる足を如何にせむ   のかぜ
    虫籠揺るるダンス教室        篠
ウ  靴箱を開けてあふるる鰯雲       七
    告ぐべき想ひ風に託せば       ん
   ゆふぐれに声する穴を重ね合ふ     り
    都市伝説のひとつ生まれて      河
   片腕は鬼となりたる母と棲む      犬
    ゆつくりと編む鉄色の髪       ぜ
   鉱山へ線路が延びて夏の月       篠
    熊に誘はれ川渡る朝         七
   トーストに蜂蜜たつぷり塗り付けて   ん
    出会ひがしらの激突を待つ      り
   沒年のぽつと泛かびて花篝       河
    啄木忌ならピストルを手に      犬
ナオ 彼方此方と陽炎追つて大童       ぜ
    引つ越すたびに家具を買ひ替へ    篠
   警備用介護用ロボ共に連れ       七
    頭のなかに錆びた撥条        ん
   赤い玉出てからこそが楽しみと     り
    大晦を歌ひおさめる         河
   いつせいに響く汽笛と歓声と      犬
    平方根に恋する鴎          ぜ
   指で窓つくり無限を見てゐたる     篠
    頭の中をゴム消しで消す       七
   今宵また月光浴びて徘徊し       ん
    あれは特訓中の踊り子        り
ナウ 地芝居のテントほころびすきま風    河
    鳩首協議をそつと覗けば       犬
   しんしんと温泉宿に白卍        ぜ
    目刺二串みやげに貰ひ        篠
   メ-ルには画面びつしり花筵      七
    仔猫いだいて古き友来る       ん

起首:2015年 1月 5日(月)
満尾:2015年 1月26日(月)
捌き:ゆかり
 

2014年12月29日月曜日

七吟歌仙・短日の巻

掲示板で巻いていた連句が満尾。

   短日の坂の終りのポストかな      篠
    人に生まれてしのぐ底冷     ゆかり
   港町ならばリバプールを思ひ     苑を
    颱風過ぎて空は碧に        一実
   山の端の影を濃くして月昇る   まにょん
    墨も香りて襖絵の菊        ぐみ
ウ  笛の音のひたとやみたる大伽藍    なむ
    指でたどれば禁断の喉        篠
   一匹の蛇より千匹の蚯蚓        り
    テンペラ用に卵を割つて       を
   朝食をとるに珈琲ふたつ淹れ      実
    木々に群れなす熱帯の鳥       ん
   飛ぶ日まで翼のタトウ背に秘め     み
    サン・クエンティン刑務所を出る   む
   古着屋が助つ人で来る草野球      篠
    こんなところに純粋階段       り
   奥山に花散る湖のあるといふ      を
    箱に溢れて子猫四五匹        実
ナオ 朧夜に三益愛子が辻で待つ       ん
    婆さましやばしやば行水好きで    み
   浴びるほど呑むため担ぐ荒神輿     む
    パズルで過ごす反省の日々      篠
   縦横に五音七音埋め込んで       り
    千早振るとか聴くYouTube       を
   ショッピングモールに髭を剃られては  実
    鞄のなかの鞭と蠟燭         ん
   付け馬も誕生日とてごまかされ     み
    ピザを買ひきて妻と親しむ      む
   満月を見上げ五右衛門風呂のなか    篠
    浮き沈みある人生の秋        り
ナウ 密漁のさなかに濃霧注意報       を
    電子レンジにまはる炒飯       実
   伽羅の香のしづかにありて旅の果    ん
    淡きいろどり名残の雪に       み
   渋谷区の神南あたり花は咲く      む
    待ち人の来て陽炎の午後       篠

起首:2014年12月16日(火)
満尾:2014年12月29日(月)
捌き:ゆかり

2014年12月13日土曜日

七吟歌仙・室咲の巻 満尾

掲示板で巻いていた連句が満尾。 

   室咲や少年の弾くアルペヂオ     苑を
    おがくづ飛ばす御歳暮の海老   ゆかり
   渡り行く異形の群れは哀しくて    月犬
    子羊なべて迷ふものらし       七
   どの波もしづかに眠り月に海     ぐみ
    芋浮かべたるスープの濁り    てふこ
ウ  行く秋のトライアングルイヤリング  銀河
    甘噛みといふ大人の遊び       を
   襟を立て寒さの所為にしてみたり    り
    よごとよごとに匂ひたつ衣      犬
   ベランダにリボンの騎士はマント干し  七
    高下駄はいて歌ふデカンショ     み
   枕投げしたる一個は宇宙へと      こ
    ホテル暮らしも京都東京       河
   啓蟄の女子マラソンの新記録      を
    涅槃西風より迅き仕事師       り
   蒼穹へ花押し上げる枝と幹       犬
    耳鼻科眼科とせはしく通ひ      七
ナオ 故郷のふくろふの声まねてみる     み
    乳母の娘と日向ぼこして       こ
   開戦となむわがことと思はずも     河
    ラヂオは波の音するばかり      を
   夜店ほど明るく点せ真空管       り
    昇りてゆらぐ蚊遣のけむり      犬
   七つ星北へ北へとひた走る       七
    知る人ぞ知る地球儀の裏       み
   茱萸の実を食べて流浪の民のふり    こ
    サナトリウムに稲妻の落つ      河
   ひたひたと満月の夜をなにか来る    を
    姫茴香で作る銃弾          り
ナウ モティといふ名前の店に憶えあり    犬
    雪降る庭に犬駆け回り        七
   初てふの色は今年も白ならむ      み
    ほくろの数に亀の鳴きをり      こ
   逆光に透いて散りぬる花の丘      河
    雲雀のやうにはしやぐお茶会     を


起首:2014年11月23日(日)
満尾:2014年12月13日(土)
捌き:ゆかり
 

2014年11月18日火曜日

七吟歌仙・黒猫の巻

掲示板で巻いていた連句が満尾。 

   黒猫に紅葉かつ散る窓辺かな     まにょん
    火を恋ふならばジュリアン・ソレル  ゆかり
   鯖雲に硝子の破片混らせて        なな
    波頭から夏の旋律           苑を
   椰子の実の深き眠りに月涼し      ぽぽな
    いまやおしやれな亀の子束子     らくだ
ウ  ふすまには万年床を隠す技        ぐみ
    亞剌比亞文字のこれは恋文        ん
   多理婆无母伊須良牟許久母夢乃橋      り
    三面鏡で閉ざす日焼け子         な
   真夏日にペンギン檻を脱走す        を
    蝋の翼はみるみる溶けて         ぽ
   人形はマダムに命吹きこまれ        だ
    或る晴れた日のオペラ上演        み
   大いなる跳躍春の祭典の          ん
    古きレジ打つ彼岸の茶店         り
   口笛は花の舟より聞こえきて        な
    はたいて落とす靴底の泥         を
ナオ 手袋と刃物どこにもみつからず       ぽ
    雪合戦のルールが変わる         だ
   精虫の勝者は今日も職さがし        み
    一応覗く屑籠の中            り
   乱丁の夏のページがあるかもと       な
    西日に染まるレースのカーテン      ん
   目蒲線田園調布駅に雨           を
    久しぶりねとはにかむ人よ        ぽ
   えのころでそろりとなでる足の裏      だ
    ひとさはぎして雁の降り立つ       み
   月明は鏡の沼を眠らせず          ん
    NASAの素材のちくちくとして     り
ナウ 人影と名残としての霜柱          な
    湯気が薬缶の蓋持ち上げる        を
   振り向けば体の奥に鈴の音         ぽ
    春一番を告げる予報士          だ
   北上する開花前線と宅急便         み
    母のほほゑむ日永の戸口         ん

起首:2014年10月29日(水)
満尾:2014年11月18日(火)
捌き:ゆかり

 

2014年9月27日土曜日

七吟『赤毛のアン』歌仙 花野の巻

掲示板で巻いていた連句が満尾。 

   花野ゆく馬車に赤毛の少女かな  らくだ
    約束のごと秋のゆふぐれ    ゆかり
   月の出に切妻屋根の静まりて    ぐみ
    はじめて貰ふギンガムの服     令
   想像を詰めてふくらむバスケット  苑を
    小舟流れて遠い海まで       河
ウ  ロマンスの岸辺にいつか灯は点り   七
    石盤割つて学校を去る       だ
   たちまちのうちに野心の地平線    り
    決して飽きぬ虹の色合ひ      み
   礼拝の帽子に野薔薇かざりたる    令
        負けず嫌ひの天使が墜ちて          を
   病む人にひたすらに射す冬の月    河
    終はることなき林檎の並木     七
   お茶会でお茶も飲まずに酔つ払ひ   だ
    毎週ひとつ物語書く        り
   紫の水晶ここよと花ひらり      み
    小径を抜けるあたたかな風     令
ナオ 振り向けば丘も農夫も陽炎へり     を
    夏のあひだを遊び呆けて      河
   まぼろしはいつもかなはぬ夢を見せ  七
    徹底的に髪を切られる       だ
   きつとよいものだと思ひ角曲がる   り
    ぐんぐん伸びる十五の背丈     み
   代数に幾何ラテン語に英国史     令
    本をひらけば九月の匂ひ      を
   身に入みてオートミールの煮加減も  河
    金風わたりお喋りばかり      七
   月明かり招く客用寝室へ       だ
    がうがう燃やし湧かす熱湯     り
ナウ くゆらせるパイプの煙と波長合ひ   み
    ちやうちん袖は白銀に映ゆ     令
      からつぽの子供部屋てふ黄昏に        を
    遠く友の灯蝶々のごと       河
   エルフィンとゴブリンもゐる花の森  七
    恋人たちの小径うららか      だ


起首:2014年 8月23日(土)14時20分43秒
満尾:2014年 9月27日(土)14時37分5秒
捌き:三島ゆかり