2017年7月30日日曜日

七吟歌仙 見上げればの巻

掲示板で巻いていた連句が満尾。


   見上げれば真中の暗き花火かな    月犬
    うつつのごとく川のせせらぎ   ゆかり
   蜉蝣の翅痛さうに日を受けて    あんこ
    芒を飾る空近き街         ぐみ
   右の目を濯がば月読尊の生れむ    苑を
    コンビニエンスストアの店員    なな
ウ  まさに飛ぶやうに売れゆく週刊誌   なむ
    マルサの女紅を濃く引く       犬
   白昼の口移しする生玉子        り
    荒く抱きあふキッチンの床      こ
   山火事に迂回勧める天城越え      み
    ノーベル賞の発表迫る        を
   コンタクトレンズを左右間違へて    な
    寒月光の底の玻璃窓         む
   教会のオルガン弾きも帰る頃      犬
    けもの飛び交ふ春の暗闇       り
   ポストへの道ゆるやかに花筏      こ
    赤ワイン買ひ木の芽を和へて     み
ナオ リビングにピカソの犬は長く伸び    を
    乳を含めず泣いてをるなり      な
   憶良らはいまは罷らむ出直さむ     む
    唐の都に不穏な噂          犬
   肉林の七賢泳ぐ酒の池         り
    教授の語る山本竜二         こ
   少年に戻りて雲の峰目指し       み
    かぶとむし対かぶとむし戦      を
   若冲の作といはれて買ひ求む      な
    錦小路に藷の並ぶ午後        む
   旅の荷を解く肩と背を照らす月     犬
    やは肌といふ秋の夜の罪       り
ナウ 高らかに十二時告げる鐘の音      こ
    諸行無常と雪にまみれつ       み
   放課後の黒板消しのぽとり落ち     を
    春は春とて佐々木に佐藤       な
   先陣を争ふやうに飛花激し       む
    笑ふ山あり酌み交はしをり      犬

起首:2017年 6月27日(火)
満尾:2017年 7月30日(日)
捌き:ゆかり

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