掲示板で巻いていた連句が満尾。
見上げれば真中の暗き花火かな 月犬
うつつのごとく川のせせらぎ ゆかり
蜉蝣の翅痛さうに日を受けて あんこ
芒を飾る空近き街 ぐみ
右の目を濯がば月読尊の生れむ 苑を
コンビニエンスストアの店員 なな
ウ まさに飛ぶやうに売れゆく週刊誌 なむ
マルサの女紅を濃く引く 犬
白昼の口移しする生玉子 り
荒く抱きあふキッチンの床 こ
山火事に迂回勧める天城越え み
ノーベル賞の発表迫る を
コンタクトレンズを左右間違へて な
寒月光の底の玻璃窓 む
教会のオルガン弾きも帰る頃 犬
けもの飛び交ふ春の暗闇 り
ポストへの道ゆるやかに花筏 こ
赤ワイン買ひ木の芽を和へて み
ナオ リビングにピカソの犬は長く伸び を
乳を含めず泣いてをるなり な
憶良らはいまは罷らむ出直さむ む
唐の都に不穏な噂 犬
肉林の七賢泳ぐ酒の池 り
教授の語る山本竜二 こ
少年に戻りて雲の峰目指し み
かぶとむし対かぶとむし戦 を
若冲の作といはれて買ひ求む な
錦小路に藷の並ぶ午後 む
旅の荷を解く肩と背を照らす月 犬
やは肌といふ秋の夜の罪 り
ナウ 高らかに十二時告げる鐘の音 こ
諸行無常と雪にまみれつ み
放課後の黒板消しのぽとり落ち を
春は春とて佐々木に佐藤 な
先陣を争ふやうに飛花激し む
笑ふ山あり酌み交はしをり 犬
起首:2017年 6月27日(火)
満尾:2017年 7月30日(日)
捌き:ゆかり
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