よく薫る女礼者の名刺かな 酔鳴
末広がりにゆづりはの青 ゆかり
その日また船尾に旗のはためいて 天気
きんとん雲で合つてゐるつけ 七
飲みすすむ桂男もめでる酒 遊凪
白露といふうつくしき嘘 青猫
ウ からつぽの郵便受けは行く秋の 夜景
ダリの画室にとろける時計 月犬
野良犬の眉間の先にぶら下がり けんじ
埋蔵金を打つ検土杖 鳴
変更を余儀なくされる海開き り
月を肴の見越しの葭簀 気
足跡をたうたう夢に埋めたり 七
ジーンズ似合ふ三つ編みのひと 凪
さて今日は霊長類になりすます 猫
雨水の城に隠す天秤 景
ゆさゆさと大枝に揺れ花の夜 犬
遠くに響く虫出しの雷 じ
ナオ 五丁目の歯医者はすぐに抜きたがり 鳴
まだ生きてゐる闇の神経 り
秒読みに入る枯野の発射台 気
混沌屯画像乱るる 七
さそり座の彼氏を追つてハワイまで 凪
ジュラ紀の魚となるまで泳ぐ 猫
燃ゆる木の顛末を説く閑古鳥 景
廃墟めきたる場末のホテル 犬
テーブルに伏せ置かれたる請求書 じ
放電しきるタニマチの袖 鳴
月の浜靴美しく並べたり 七
芒の波へまたひとり消え 気
ナウ 銀杏散る午後を開拓史の講義 り
株式相場上下運動 凪
旋律は雪原を越え戸口へと 犬
羊たちみな声がはりして 景
あかつきの足裏をそつと花の塵 猫
始発の動く風光る街 じ
起首:2021年 1月 5日(火)
満尾:2021年 2月13日(土)
捌き:ゆかり
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