ごまだれの冷やし中華や退学す なな
長き行列続く片蔭 ゆかり
マラソンが見たさに風を押しのけて 祥貴
エンタシスよりケンタウロスが 青猫
月祀る遺構かさなるうぶすなに 冬泉
山茱萸の実を摘みとる手籠 酔鳴
ウ かなかなが奏でる革命のエチュード 鮭児
少し明るきグラスにウォッカ な
電流をあちらのお客様として り
いつしよにほとばしるわバリまで 貴
この雨にしなしなと四肢のアンニュイ 猫
わが屍をかこむ萍 泉
中国茶ひらかせてゐて月涼し 鳴
埋めもどされるモノリスの失禁 児
縦縞も横縞も魚氷に上る な
脱獄犯の模型のどけし り
酌み交はす叔父貴の背を花爛々 貴
地上五センチ彷徨つてみる 猫
ナオ 枯野にて北斎のこと蝌蚪のこと 泉
不意の雪とて入るドトール 鳴
じふぶんに煉獄ですよと医者笑んで 児
四角い文字もすらすらと読み 猫
美しきスヴェトラーナの太り肉 鳴
亡命の途に開く襟元 な
けだるさに点けたテレビのばか笑ひ 貴
同語反復する君の名は 泉
辻斬られ入れかはりたる右脳左脳 児
ところ狭しと管のいろいろ り
情火より遠くみなぎる望の月 猫
神籬立てし小舟冷ややか 鳴
ナウ うつむきと異なる磯菊の傾げ な
答へ終えたるのちの道行 貴
甍落ち箔落ち星を踏むたびに 泉
井戸の深さを返る水音 り
黒髪に染むをとつひの嘘へ花 児
かすみの海を馬の駆けゆく 猫
起首:2021年 8月 2日(月)
満尾:2021年 9月 9日(木)
裁き:ゆかり
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