2021年9月9日木曜日

七吟歌仙 ごまだれの巻

   ごまだれの冷やし中華や退学す    なな

    長き行列続く片蔭        ゆかり

   マラソンが見たさに風を押しのけて  祥貴

    エンタシスよりケンタウロスが   青猫

   月祀る遺構かさなるうぶすなに    冬泉

    山茱萸の実を摘みとる手籠     酔鳴

ウ  かなかなが奏でる革命のエチュード  鮭児

    少し明るきグラスにウォッカ     な

   電流をあちらのお客様として      り

    いつしよにほとばしるわバリまで   貴

   この雨にしなしなと四肢のアンニュイ  猫

    わが屍をかこむ萍          泉

   中国茶ひらかせてゐて月涼し      鳴

    埋めもどされるモノリスの失禁    児

   縦縞も横縞も魚氷に上る        な

    脱獄犯の模型のどけし        り

   酌み交はす叔父貴の背を花爛々     貴

    地上五センチ彷徨つてみる      猫

ナオ 枯野にて北斎のこと蝌蚪のこと     泉

    不意の雪とて入るドトール      鳴

   じふぶんに煉獄ですよと医者笑んで   児

    四角い文字もすらすらと読み     猫

   美しきスヴェトラーナの太り肉     鳴

    亡命の途に開く襟元         な

   けだるさに点けたテレビのばか笑ひ   貴

    同語反復する君の名は        泉

   辻斬られ入れかはりたる右脳左脳    児

    ところ狭しと管のいろいろ      り

   情火より遠くみなぎる望の月      猫

    神籬立てし小舟冷ややか       鳴

ナウ うつむきと異なる磯菊の傾げ      な

    答へ終えたるのちの道行       貴

   甍落ち箔落ち星を踏むたびに      泉

    井戸の深さを返る水音        り

   黒髪に染むをとつひの嘘へ花      児

    かすみの海を馬の駆けゆく      猫


起首:2021年 8月 2日(月)

満尾:2021年 9月 9日(木)

裁き:ゆかり

0 件のコメント:

コメントを投稿