梅の実やかなしき肌のやうなもの ゆかりり
掌にあればその遠きあまおと 聡
マスタング疾し輪郭を掻き消して 祥貴
すすきすすきと誘はれてをり 火尖
安全な真顔で月を見ていたい りゑ
もの確かむる虫の叢 銀河
ウ がうがうと紙吐き続く輪転機 黒兎
トースト焦がすエプロンのきみ ゆかり
ジューサーで絞りきれない思慕しつぽり 聡
仏と成してローラ・ビーチへ 貴
入国の合唱団は一人欠け 尖
竹冠の名字が似合ふ ゑ
杖笠に矢立忘るな寒の月 河
留守居の猫の額なでつつ 兎
着々と世界征服進みをり り
のの字浄土やみちのくの野辺 聡
寺山のむくんだ頬に花ひとひら 貴
蝶と化さねば剥がれぬ付箋 尖
ナオ パパゲーノ裏原宿で待ち合はせ ゑ
浮世の果てと知りて矢を射る 河
君の名で三度ログインしくじりて 兎
立ち上がらない金曜の朝 り
ケトルベルだんだん父に似てきたね 貴
抽斗で割る温泉卵 ゑ
ポケットの接骨院の回数券 兎
樹海へ入るバスは方舟 聡
暗がりに目覚めるものと眠るもの り
蕣ひらく音のかすかに 河
天網の匂ひのしない昼の月 尖
万のレンズにひかる小芋煮 貴
ナウ 冷たさに今すぐ閉じる二枚貝 ゑ
夢に出で来し雪の風景 河
十字路で解釈論でぶつかりて 聡
おのれを写すコンビニの窓 り
知らぬ間に増えし子の来て花の雲 兎
やむことのなきふらここの揺れ 尖
起首:2021年06月22日(火)
満尾:2021年07月07日(水)
捌き:三島ゆかり
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