『SASKIA』10号の清水径子二百五十句(三枝桂子抄出)から第二句集『哀湖』(昭和五十六年 俳句研究新社)について。
本筋ではなさそうなところから入ってみる。食べ物の句がなんだか多い。
まんぢゆうを食べ夏の夜のうす汚れ
雨音のしみてしらじら寒の餅
草餅の一つも翔たず老いませり
餅食うべ体内に芽のやうなもの
この時期の作者の健康状態など知る由もないのだが、最初の三句は食べる快楽とはあまり縁がなさそうである。それに比べると、いきなり関東・東北方言を上五に持ってきて自身に言い聞かせる感のある最後の句は、生への意志を感じさせる。腹が減ったというよりも、もっと芯のある「芽のやうなもの」。
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