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広げたる翼あかるき千草かな ぽぽな
空耳のごと白き虫の音 ゆかり
月明にかざすシャンパンはにかんで ゆらぎ
スクリーンにはをどる踊り字 佳世乃
席立ちて席にハンカチ残りたり 令
百合一輪に礼状を添へ うさぎ
ウ 暗号をマングローブの森に解く 由季
鳥になつたり魚になつたり な
ゆつくりと鼻から吸つて鼻で吐く り
観音様と仰ぐ裸身を ぎ
高き日の映る鏡にせかされて 乃
靴を響かせコサック騎兵 令
掘りたての人参を手に駆け回り う
月も凍るし穴も凍るし 季
熟睡をぴくりと動く犬の眉 な
祖母から貰ふ輪ゴム九つ り
花万朶帝国陸軍埋蔵金 ぎ
はたらく船ははるのゆふぐれ 乃
ナオ 大阪に河口干潟の残されて 令
猫の飛び乗るこいさんの膝 う
眼鏡かけ憎まれ役で押し通す 季
同窓会にひとり足りない 乃
消印ははつなつのニューカレドニア な
ポストコロニアリズム論考 ぎ
いちまいの付箋を剥す昼深く う
送信あとは掃除機を連れ り
寝室の夫とのあひに誰かゐる 令
方程式は冷たく甘く 季
月光の届き始める楽器店 乃
エディーの方が先に逝く秋 な
ナウ 野は山へ移り疎らに茨の実 ぎ
双子同時に霜柱踏む う
日の当る場所を空までヒット曲 り
売家を見て大あくびして 令
塀を越え虚子庵からの花吹雪 季
うぐひすもちの餡のつややか 乃
起首:2021年10月12日(火)
満尾:2021年11月16日(火)
捌き:三島ゆかり
ごまだれの冷やし中華や退学す なな
長き行列続く片蔭 ゆかり
マラソンが見たさに風を押しのけて 祥貴
エンタシスよりケンタウロスが 青猫
月祀る遺構かさなるうぶすなに 冬泉
山茱萸の実を摘みとる手籠 酔鳴
ウ かなかなが奏でる革命のエチュード 鮭児
少し明るきグラスにウォッカ な
電流をあちらのお客様として り
いつしよにほとばしるわバリまで 貴
この雨にしなしなと四肢のアンニュイ 猫
わが屍をかこむ萍 泉
中国茶ひらかせてゐて月涼し 鳴
埋めもどされるモノリスの失禁 児
縦縞も横縞も魚氷に上る な
脱獄犯の模型のどけし り
酌み交はす叔父貴の背を花爛々 貴
地上五センチ彷徨つてみる 猫
ナオ 枯野にて北斎のこと蝌蚪のこと 泉
不意の雪とて入るドトール 鳴
じふぶんに煉獄ですよと医者笑んで 児
四角い文字もすらすらと読み 猫
美しきスヴェトラーナの太り肉 鳴
亡命の途に開く襟元 な
けだるさに点けたテレビのばか笑ひ 貴
同語反復する君の名は 泉
辻斬られ入れかはりたる右脳左脳 児
ところ狭しと管のいろいろ り
情火より遠くみなぎる望の月 猫
神籬立てし小舟冷ややか 鳴
ナウ うつむきと異なる磯菊の傾げ な
答へ終えたるのちの道行 貴
甍落ち箔落ち星を踏むたびに 泉
井戸の深さを返る水音 り
黒髪に染むをとつひの嘘へ花 児
かすみの海を馬の駆けゆく 猫
起首:2021年 8月 2日(月)
満尾:2021年 9月 9日(木)
裁き:ゆかり
梅の実やかなしき肌のやうなもの ゆかりり
掌にあればその遠きあまおと 聡
マスタング疾し輪郭を掻き消して 祥貴
すすきすすきと誘はれてをり 火尖
安全な真顔で月を見ていたい りゑ
もの確かむる虫の叢 銀河
ウ がうがうと紙吐き続く輪転機 黒兎
トースト焦がすエプロンのきみ ゆかり
ジューサーで絞りきれない思慕しつぽり 聡
仏と成してローラ・ビーチへ 貴
入国の合唱団は一人欠け 尖
竹冠の名字が似合ふ ゑ
杖笠に矢立忘るな寒の月 河
留守居の猫の額なでつつ 兎
着々と世界征服進みをり り
のの字浄土やみちのくの野辺 聡
寺山のむくんだ頬に花ひとひら 貴
蝶と化さねば剥がれぬ付箋 尖
ナオ パパゲーノ裏原宿で待ち合はせ ゑ
浮世の果てと知りて矢を射る 河
君の名で三度ログインしくじりて 兎
立ち上がらない金曜の朝 り
ケトルベルだんだん父に似てきたね 貴
抽斗で割る温泉卵 ゑ
ポケットの接骨院の回数券 兎
樹海へ入るバスは方舟 聡
暗がりに目覚めるものと眠るもの り
蕣ひらく音のかすかに 河
天網の匂ひのしない昼の月 尖
万のレンズにひかる小芋煮 貴
ナウ 冷たさに今すぐ閉じる二枚貝 ゑ
夢に出で来し雪の風景 河
十字路で解釈論でぶつかりて 聡
おのれを写すコンビニの窓 り
知らぬ間に増えし子の来て花の雲 兎
やむことのなきふらここの揺れ 尖
起首:2021年06月22日(火)
満尾:2021年07月07日(水)
捌き:三島ゆかり
思ひ出すための一日や桜餅 西生
やがてひかりにとける囀 三島
風船の轍をのこす雲もなし 秀雄
抜かれぬやうに立ち漕ぎをして なな
衛星の影よぎり行く大き月 今朝
留守番電話に蜩のこゑ れいこ
ウ 踊り出す案山子次世代ミュージック 茱萸
硝子の靴の踵を踏んで 生
砕け散る糸し糸しと言ふ心 島
木質化する君の俤 雄
飲み切つてしまふスコッチウヰスキー な
心臓三つ脳は九つ 朝
新しいパパと見てゐる夏の月 こ
水中眼鏡外さぬままに 萸
透きとほる巨きな傘の下にゐて 生
臨終を待つたそがれの国 島
青い鼻血が逆巻く川の花明り 雄
ゆつくり啜る椀より浅蜊 な
ナオ ひたすらにおむつを換へて春暮るゝ 朝
ござるござると村の長老 こ
アカウント端末ごとに使ひ分け 萸
時給の順に送る履歴書 生
煤逃の初体験は十五歳 島
をしを商鞅高次構造 雄
立ち読みの本にみごとな染みをつけ な
定刻に発つ深夜特急 朝
助手席を退いてくれない轡虫 こ
乃木忌終日ラジオを聴いて 萸
砂浜をムーンライトの尖りをる な
作りものめくカクテルの青 島
ナウ 鳥籠の耳にしづかな小米雪 雄
新聞王の捨てられぬ橇 生
セントラル・パークを抜けて蚤の市 朝
海を夢見て自鳴琴鳴る こ
追ふやうに逃れるやうに花筏 萸
つばめ飛び交ふ地図要らぬ町 な
起首:2021年04月12日(火)
満尾:2021年05月01日(水)
捌き:三島ゆかり
よく薫る女礼者の名刺かな 酔鳴
末広がりにゆづりはの青 ゆかり
その日また船尾に旗のはためいて 天気
きんとん雲で合つてゐるつけ 七
飲みすすむ桂男もめでる酒 遊凪
白露といふうつくしき嘘 青猫
ウ からつぽの郵便受けは行く秋の 夜景
ダリの画室にとろける時計 月犬
野良犬の眉間の先にぶら下がり けんじ
埋蔵金を打つ検土杖 鳴
変更を余儀なくされる海開き り
月を肴の見越しの葭簀 気
足跡をたうたう夢に埋めたり 七
ジーンズ似合ふ三つ編みのひと 凪
さて今日は霊長類になりすます 猫
雨水の城に隠す天秤 景
ゆさゆさと大枝に揺れ花の夜 犬
遠くに響く虫出しの雷 じ
ナオ 五丁目の歯医者はすぐに抜きたがり 鳴
まだ生きてゐる闇の神経 り
秒読みに入る枯野の発射台 気
混沌屯画像乱るる 七
さそり座の彼氏を追つてハワイまで 凪
ジュラ紀の魚となるまで泳ぐ 猫
燃ゆる木の顛末を説く閑古鳥 景
廃墟めきたる場末のホテル 犬
テーブルに伏せ置かれたる請求書 じ
放電しきるタニマチの袖 鳴
月の浜靴美しく並べたり 七
芒の波へまたひとり消え 気
ナウ 銀杏散る午後を開拓史の講義 り
株式相場上下運動 凪
旋律は雪原を越え戸口へと 犬
羊たちみな声がはりして 景
あかつきの足裏をそつと花の塵 猫
始発の動く風光る街 じ
起首:2021年 1月 5日(火)
満尾:2021年 2月13日(土)
捌き:ゆかり