2016年7月11日月曜日

天体の運行も生命のひとつ

 その他、第一部で一句として惹かれた句を挙げようとすると二十四句ほどあるのだが、ネットにそんなに書いたら句集を手にする楽しみが損なわれるので、あと少しだけ。

昼よりも星にあかるき大花野   百花
七夕や女体に宮といふ宇宙
帰るべき星より光初昔
春の星遙かに水尾を交はし合ふ


 星とか宇宙とかを詠み込んだものを掲げた。二句目、占星術では十二宮という概念があって、乙女座なら処女宮とか、いて座なら人馬宮とか、太陽が通過する時期によって十二分割している。一方で女体には子宮があるので、それを宇宙だと捉えている。生命をミクロ的に捉えたり逆にマクロ的に捉えたりするとき、天体の運行もまた生命のひとつだという思いにとらわれることがある。するとにわかに星が身近に感じられたりするものだが、これらの句からはそんな生命の循環の気分が感じられる。

 ついでながら、あと一句。
 
素十忌の穭は寸を揃へけり    百花

 素十忌は十月四日。なんだかとても素十の雰囲気が感じられるので、素十の穭の句を調べてみたら七句ある。

穭穂に一つ二つの花らしき    素十
穭田は人通らねば泣きに来し
穭田に二本のレール小浜線
吹きなびく御田の穭の青々と
鉱害の穭田水輪夥し
穭田のはしのところに籬して
たゞ刻を惜しむ穭田ひろ/゛\と

しかしどの句も百花句には似ていない。にも関わらずなんだかとても素十の雰囲気が感じられるのは、秋桜子が激しく批判したという「甘草の芽のとびとびのひとならび 素十」あたりの印象によるものか。

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