2017年2月23日木曜日

七吟歌仙 灯台の巻

掲示板で巻いていた連句が満尾。


    
   灯台の見えて焚火の漁師かな       月犬
    春を隣に厚塗りの白         ゆかり
   青空に飛行機雲の長からん        ぐみ
    夜雨の後のさはやかな朝         七
   片袖は月の雫を縫ひ取りて        苑を
    あたり一面野菊揺らぎぬ        媚庵
ウ  物の音の澄みて矢切の渡まで       なむ
    手にはとらやの団子の包み        犬
   身の上の話の途切れ砂日傘         り
    はや夕闇に蝙蝠の舞ひ          み
   ゼラチンのさだめのやうに横たはる     七
    濡れにぞ濡れて溶けもこそすれ      を
   文豪がつくる煙草のけむりの輪       庵
    ゲラの置かれしバーの止まり木      む
   虫穴を出でて欠伸のひとつなど       犬
    海市がくるむ音といふ音         り
   花万朶手前に逆さ富士描く         み
    銭湯絵師の日本百景           七
ナオ 湯を沸かす時間ですよとあの声が      を
    白いギターを壁に立てかけ        庵
   フォークとかロックとか書く入部の日    む
    男ばかりで塞ぐ北窓           犬
   裸木の陰で見守り泪せむ          り
    羊水といふぬくき重さよ         み
   カプセルにたましひ二つ入れました       七
    てのひらに置くやはらかなもの      を
   阿片吸ふ道具を愛づる迢空忌        庵
    濃霧の里の浄土曼荼羅          む
   月光をあやつり西の魔女笑ふ        犬
    リングを走る電気掃除機         り
ナウ 鎮もれる雪雪雪に立ち尽くし        み
    数式にする白鳥の声           七
   画面には大海原と空ばかり         を
    万愚節とぞ子ははしやぎたり       庵
   花守と花盗人が同じ人           む
    石鹸玉追ふ象の鼻かと          犬


起首:2017年 1月19日(木)
満尾:2017年 2月23日(木)
捌き:ゆかり

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