掲示板で巻いていた連句が満尾。
灯台の見えて焚火の漁師かな 月犬
春を隣に厚塗りの白 ゆかり
青空に飛行機雲の長からん ぐみ
夜雨の後のさはやかな朝 七
片袖は月の雫を縫ひ取りて 苑を
あたり一面野菊揺らぎぬ 媚庵
ウ 物の音の澄みて矢切の渡まで なむ
手にはとらやの団子の包み 犬
身の上の話の途切れ砂日傘 り
はや夕闇に蝙蝠の舞ひ み
ゼラチンのさだめのやうに横たはる 七
濡れにぞ濡れて溶けもこそすれ を
文豪がつくる煙草のけむりの輪 庵
ゲラの置かれしバーの止まり木 む
虫穴を出でて欠伸のひとつなど 犬
海市がくるむ音といふ音 り
花万朶手前に逆さ富士描く み
銭湯絵師の日本百景 七
ナオ 湯を沸かす時間ですよとあの声が を
白いギターを壁に立てかけ 庵
フォークとかロックとか書く入部の日 む
男ばかりで塞ぐ北窓 犬
裸木の陰で見守り泪せむ り
羊水といふぬくき重さよ み
カプセルにたましひ二つ入れました 七
てのひらに置くやはらかなもの を
阿片吸ふ道具を愛づる迢空忌 庵
濃霧の里の浄土曼荼羅 む
月光をあやつり西の魔女笑ふ 犬
リングを走る電気掃除機 り
ナウ 鎮もれる雪雪雪に立ち尽くし み
数式にする白鳥の声 七
画面には大海原と空ばかり を
万愚節とぞ子ははしやぎたり 庵
花守と花盗人が同じ人 む
石鹸玉追ふ象の鼻かと 犬
起首:2017年 1月19日(木)
満尾:2017年 2月23日(木)
捌き:ゆかり
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