2019年6月22日土曜日

七吟歌仙 日傘さしの巻

   日傘さし一個の点となりにけり       茱萸
    遠近法で続く万緑           ゆかり
   地球儀の海のあたりに耳あてて      小奈生
    やがて安らぐしろい神経         四羽
   自転車で遅番に行く月明り         媚庵
    薄原より魔女の飛び立ち          恵
ウ  カプセルに遺骨を詰める暮の秋       桐子
    等身大のベティ・デイヴィス        萸
   値札ある水族館を冷やかして         り
    降れば降るほど逢ひたいと言ふ       生
   夜の土に二人で下りて落書きし        羽
    ヘリコプターがよぎる寒空         庵
   着膨れて左手重きサイコガン         恵
    夜が足りない緞帳の裏           子
   初凪の岬を一周廻る猿            茱
    灯台しろくうららかにして         り
   バザールのベルベル人と花の下        生
    おほきな箱に蝶がびつしり         羽
ナオ モニターに迷彩服のやくみつる        庵
    渋谷スクランブル交差点          恵
   うつすらと火薬匂ひて月涼し         子
    赤い貼絵にいそしむ画伯          萸
   ポルシェとかボリシェヴィキとか走り抜け   り
    微調整する景気判断            生
   裏切の宇宙怪獣やるせなし          羽
    じゃがたら芋を大鍋に煮る         庵
   水澄みて洗濯板の硬き音           恵
    こめかみの奥きつつきの来て        子
   体幹は洞となり果て後の月          萸
    遠めがねにて見やる行くすゑ        り
ナウ しんしんと雪の音聞くカテドラル       生
    二十世紀の冬帽傾ぐ            羽
   蒼穹に輪を描くブルーインパルス       庵
    赤で記せし恋猫の地図           恵
   あしあとにひかり生まれる花の朝       子
    みんな似てゐる四月の子ども        萸

起首:2019年 5月27日(月)
満尾:2019年 6月20日(木)
捌き:ゆかり

2019年6月9日日曜日

不定期刊連句誌『みしみし』第二号発売

不定期刊連句誌『みしみし』第二号を6月9日に発売しました。
第二号は2年前に巻いた大岡信追悼連句その他二巻とその連衆17名による新作を掲載しています。大岡信追悼連句といえば、今年一月に発売された岡野 弘彦、三浦雅士、長谷川櫂『歌仙 永遠の一瞬』(思潮社)がありますが、ぜひその隣に併せて並べて頂きたい一冊となっています。

【内容】
・大岡信追悼脇起し七吟歌仙 覆へるともの巻
・七吟歌仙 ゆふぐれにの巻
・七吟歌仙 宙に日のの巻
・上記三巻の評釈
・連衆作品(敬称略)
 堀本吟、伸太、田中槐、羽田野令、藤原龍一郎、なかはられいこ、
 小林苑を、佐藤りえ、高松霞、なかやまなな、岡村知昭、岡田一実、
 西生ゆかり、くらげを、田中義之、柏柳明子、三島ゆかり
・大岡信と連句
・連句骨子(三十六歌仙)

 定価千円(送料、消費税込み)
 お申し込みはofficemisimisiアットマークまで。
(アットマークは@に変えて下さい)

以下の書店様、古書店様でもお取り扱い頂いています(ほぼ北から順。創刊号とは増減がありますのでご注意願います)。

札幌のがたんごとんさん、新宿の紀伊國屋書店さん、明大前の七月堂古書部さん、下北沢の本屋B&Bさん、松本の栞日さん、京都の三月書房さん、London Booksさん、梅田の蔦屋書店さん、中崎町の葉ね文庫さん、神戸元町の1003さん、福岡の本のあるところ ajiroさん、松山の本の轍さん、古書ほやけん洞さん。