岡田由季『犬の眉』(現代俳句協会)の続きで、「城へ」。
卒業を小部屋に待つてゐたるなり
釣堀の通路家鴨と歩きけり
日の溜まる時代祭の支度部屋
かなかなや攻守の選手すれ違ふ
岡田由季の句には、華やかな舞台へ出る前とか、場面交代の奇妙な間合いを詠んだものが少なからずあるような気がする。それも、不安だとか感情が高まるとかの描写ではなく、ただそういう間合いがあるという提示。
しやぼんだま見送りてから次を吹く
花水木荷物と別に来る手紙
これらも奇妙な間合いの仲間かも知れない。
春日傘立つて見てゐるイルカショー
百日紅モデルハウスの中二階
自宅兼事務所のまはり田水沸く
だからなんだ、ということはほとんど言っていないのに、この場所の提示の面白さは何なんだろう。
だんだんと案山子の力抜けてくる
霧の這ふ卓球台の上と下
なにか、見えるものすべてが力が抜けて、あるがままにそこにある感じ。いいなあ。
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