2017年1月21日土曜日

周到さを感じさせない無意味

 田島健一『ただならぬぽ』(ふらんす堂)の続き。ひとつ前の記事で「ライトでポップ」と書いた。まったくこの軽さはなんなのだろう。感情からも知性からも自由で、ただそこに無意味なものがなぜだかかっこよく存在する感じ。表紙についても触れようか。シンプルな装丁は、しかしながらひかりの加減で海月のイラストが見え隠れするようになっていて、横書きで配置されたタイトルのフォントがまたポップでありながら、選び抜かれた字体となっている。聞けば「モトヤアポロ」というフォントらしい。句集全体万事がそんな感じで、周到さを感じさせないようにあしらわれている。





 この句集、読んでいるといくつか気がつくことがある。「ひかり」とか「かがやき」への固執。「眼」とか「見る」への固執。特定の季語や語彙への固執。ことばあそびへの固執。かといってそれ以外も排除しないあっけらかんさ。そんなものの偶然で奇跡的な複合体なのではないか。

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