2010年5月12日水曜日

六吟歌仙・葱坊主前線の巻

   葱坊主前線きたる峠かな       あとり
    六年生と帰る春昼         ゆかり
   排水も紋白蝶をわたらせて        令
    アトランティスの迷路あらはる ざんくろー
   寝待月市松人形立ちつくし       ぐみ
    水蜜桃に入れる包丁          七
ウ  ここだくに光集めて下り梁        あ
    愛のことばはいつもひらがな      ゆ
   土曜午後歩きながらのキスなども     令
    一夜にのびるジャックと豆の木     ー
   碧眼のおそるおそると掘炬燵       み
    火口に降りるネネムは笑ふ       七
   折り返すズボンの裾に夏の月       あ
    天界鏡に金の大陸           ゆ
   分類は四十番の二としたる        令
    七といふ名の当世女          ー
   風待つな花を散らすな茉奈と佳奈     み
    蜃気楼へとバンジ-ジャンプ      七
ナオ 行く春の人体透ける許りなり       ゆ
    トンネルくぐる移動図書館       あ
   絵日記の深くに蠧魚が踊り出す      ー
    ジンタ高鳴る夕焼けの町        令
   管楽器吹けばマネの絵思ひ出し      七
    娼婦も天使少年の目に         み
   弁当の折を投げ出す汽車の窓       ゆ
    風にはためくとりどりの旗       あ
   祝日の雑居ビル群かぎろひて       ー
    お雛さん見に来てくださいと      令
   逢ふときはいつも他人の朧月       七
    狂ひ狂ひて秋の蚊二匹         み
ナウ 業しらず因果をしらず曼珠沙華      ゆ
    天金糸ひく初雁のこゑ         あ
   なめらかに寿限無となへる雪達磨     ー
    紙風船は唐櫃を発ち          令
   古文書を紐解く指にふるは花       七
    御座候と春は暮れ行く         み


起首:2010/04/09 09:55
満尾:2010/05/09 17:13
捌き:ゆかり