掲示板で巻いていた連句が満尾。
枯蔦の這ふや精魂すさぶ壁 月犬
入り組んでゐる坂は寒晴 ゆかり
見下ろせば海に帆を張る舟ありて まにょん
蕩児ひそかに秋風を聞く 七
月光に濡れて街の灯ことごとく なむ
まぶたの裏に浮かぶ酸漿 篠
ウ くちびるを尖らせてゐるふくれ面 令
筆の先から想ひこぼれて 犬
たいせつなものをうしなひ犬となる り
砂漠に膝を折つて祈れど ん
闇照らし上総堀りにて掘りつづく 七
けふも聞こえるあの子守唄 む
女装家の凛と立ちゐて夏の月 篠
岩のあひだを黒蜥蜴出づ 令
草臥れた鞄が父の遺品とか 犬
蝿生まれれば角川文庫 り
花守は花に埋もれて手をすりぬ ん
予約席にて囀りを聴く 七
ナオ 大仏の耳たぶ太き男ぶり む
世界遺産に制服の群れ 篠
中国語露西亜語そして越南語 令
基地を飛び立つ重爆撃機 犬
名にし負ふ水着の赤のあざやかに り
もう日は暮れて残る砂山 ん
煮凝りの探れば尖る骨ひとつ 七
芯に凍み入る官能の味 む
閨房の妻は娼婦の顔をして 篠
鈴虫のこゑふりいでたるを 令
月の下果てなく続く加持祈祷 犬
魑魅魍魎も餓鬼も踊らん り
ナウ なみなみと甕に満ちたる今年酒 ん
水源地まで兎追ひかけ 七
こころざし果たして帰る里もなし む
銅像の手に積もる春雪 篠
本を読みながら待ちゐる花だより 令
靴新しき入学の子ら 犬
起首:2015年 2月 1日(日)
満尾:2015年 2月23日(月)
捌き:ゆかり
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