掲示板で巻いていた連句が満尾。
貰ひたる秋の駱駝の埃かな なな
眺めはるかに舐めるどぶろく ゆかり
夕月に影曳く一機離陸して ぐみ
寓話の声に耳を澄ませば 苑を
そのかみの野を宵宮の男舞 なむ
夏のなごりの紫の種 らくだ
ウ 卵管をくるくるまはる楕円形 な
ぐつたりとして身動きできぬ り
そつと触れのどぼとけにも尾の痕も み
泣いちやふくらゐむちやくちやにして を
乱心を悔い改める大司教 む
流されてゆく謎の古文書 だ
友人を噛む冬の月凛として な
ナスターシャからムイシュキンへの り
羅府で読み桑つむ港で怠武林で み
永すぎる日のなぞなぞ遊び を
幽谷に花神眠れる流離譚 む
具足一式身につかぬまま だ
ナオ ゆふぐれの観覧車にて離婚する り
何回も書き殴つてをりぬ な
そよ風に乗つて笑つて幼くて を
グルメの日々を三十一文字に み
ラムネでは口説き文句も駄洒落風 だ
なあなあ主義のムーの一族 む
草々と伸びやかに書き終はりとす り
ぐい呑みの薄みどりに酔へば な
乱歩なる奇しくも美しき断頭台 を
ななかまど燃え村に葬列 み
ゆくりなく語る月夜の竜の骨 だ
名をばトマスと名乗る秋茄子 む
ナウ 喇叭いまクレッシェンドして壇上に り
何人もただ夢中になりぬ な
その後も野山の吹雪をさまらず だ
生番組では菜飯取り上げ み
湯に落つる花片ひとひら旅情とす を
愚陀佛庵に水草生ふ朝 む
起首:2015年 8月27日(木)
満尾:2015年 9月21日(月)
捌き:ゆかり
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