2011年5月16日月曜日

九吟自由律歌仙 藤棚の巻

掲示板で巻いていた歌仙が満尾。


   藤棚という姉妹へ時々しっぽかな            ねここ
    夏近き半球                     ゆかり
   メーデーの帰りに背広新調などはやめて          銀河
    大漁旗高々と                     ぐみ
   スカートごとひよこゆっくり後の月             こ
    空飛ぶ夜長二人乗りの我等                ゆ
ウ  いつかは胡桃の中へ入ってゆくのか             令
    ラビリンチュラは冬眠しつつ               七
   片恋童話みたいなキャベツの森               こ
    ひらひらと番う                     河
   唾液中年に告げる夏の言い訳            キヨヒロー
    駱駝よ道がまっすぐ                   み
   村長の案山子へ睨む出戻りのにおい             ー
    目玉焼きも爽やか                    令
   水に映える月を掻き取ってくると兄は言い          七
    蛇がとぐろを巻いた朝                 蘆汀
   花の盛りに触れて鐘の響きは遠い彼方へ           み
    白居易と霞を食べた                   河
ナオ 眠とうなったまた明日あめふらしの肘枕         あとり
    恋人離婚に思う                     ー
   接吻の刹那に指輪が煌めいた                汀
    途方もなくザンジバル                  令
   お母さん人生は歩いて行くのですね             ゆ
    雲梯のすきまだらけ                   あ
   呪術師となる最終講義は変身の章              七
    空豆の日記と盲導犬                   こ
   崩れた石垣でけふ子燕が鳴いた               汀
    天気予報の号外                     あ
   ひとつずつ冬満月が配られている狭庭            み
    指先を濡らすような写真                 ー
ナウ めまいは誰もいない浜辺より明るく             令
    夢ならば判断して                    ゆ
   戦争が丸くなったら人もフラフープ             河
    春昼のリボンをほどく                  七
   花は明日空をゆくてのひらもう誰にもつかまらへんよ     あ
    みごもってこぐふらこゝ                 汀


起首:2011年 5月 3日(火)
満尾:2011年 5月16日(月)
捌き:ゆかり

ねここキヨヒローは俳句自動生成ロボット

2011年5月1日日曜日

脇起し五吟歌仙 春天の巻

 掲示板で巻いていた歌仙が満尾。

   春天に鳩をあげたる伽藍かな   川端茅舎
    木蓮といふ合掌植物       ゆかり
   風光る山郷にふと誘はれて      ぐみ
    このあたりにも落人の裔       ゆ
   ほのぐらき眼窩のそらに月ひとり   銀河
    椎の実に添ふ椎の実の影     あとり
ウ  秋麗の坊ちやん電車でうたた寝す   苑を
    夢で逢はむと衣かへせり       み
   身を責めて羽のあやなす異類婚     河
    北窓ふさぐ写真スタジオ       あ
   二十歳とは風花だつたかもしれず    を
    なかつたといふ伍圓拾圓       ゆ
   交番を出て仰ぎ見る夏の月       み
    禁遊泳の旗翩翻と          河
   文庫本ひらけば砂のいくばくか     あ
    都会の虻は岸田今日子似       を
   身を裂いて花のトロルの荒ぶるる    ゆ
    干鰈焼き酒はぬるめに        み
ナオ 郷愁ハコノ店ノ扉ノウラオモテ     河
    有平棒の輪廻転生          あ
   Maid in Solingen と金の文字      を
    足止め食らふ神の旅立        ゆ
   雪だるま夜半に長靴履くさうな     み
    買つてもらつた新しい傘       河
   ビル風は犂耕体にわたりつつ      あ
    フォークダンスで目と目を合はす   を
   ふつふつとDNAの意のままに     ゆ
    双子それぞれ指輪もらひぬ      み
   穴くぐり月光かへるところなし     河
    秋の水面の左右さかさま       あ
ナウ 渦をなし踊はじまる越後獅子      を
    髪型を変へ立ち直らんと       ゆ
   霊峰を背に手彫りの観音像       み
    笑みもうららか若きお妃       河
   さしのべて空のそこひの花万朶     あ
    青き踏まむと駆けだしてゆく     を


起首:2011年 4月 2日
満尾:2011年 5月 1日