掲示板で巻いていた歌仙が満尾。
春天に鳩をあげたる伽藍かな 川端茅舎
木蓮といふ合掌植物 ゆかり
風光る山郷にふと誘はれて ぐみ
このあたりにも落人の裔 ゆ
ほのぐらき眼窩のそらに月ひとり 銀河
椎の実に添ふ椎の実の影 あとり
ウ 秋麗の坊ちやん電車でうたた寝す 苑を
夢で逢はむと衣かへせり み
身を責めて羽のあやなす異類婚 河
北窓ふさぐ写真スタジオ あ
二十歳とは風花だつたかもしれず を
なかつたといふ伍圓拾圓 ゆ
交番を出て仰ぎ見る夏の月 み
禁遊泳の旗翩翻と 河
文庫本ひらけば砂のいくばくか あ
都会の虻は岸田今日子似 を
身を裂いて花のトロルの荒ぶるる ゆ
干鰈焼き酒はぬるめに み
ナオ 郷愁ハコノ店ノ扉ノウラオモテ 河
有平棒の輪廻転生 あ
Maid in Solingen と金の文字 を
足止め食らふ神の旅立 ゆ
雪だるま夜半に長靴履くさうな み
買つてもらつた新しい傘 河
ビル風は犂耕体にわたりつつ あ
フォークダンスで目と目を合はす を
ふつふつとDNAの意のままに ゆ
双子それぞれ指輪もらひぬ み
穴くぐり月光かへるところなし 河
秋の水面の左右さかさま あ
ナウ 渦をなし踊はじまる越後獅子 を
髪型を変へ立ち直らんと ゆ
霊峰を背に手彫りの観音像 み
笑みもうららか若きお妃 河
さしのべて空のそこひの花万朶 あ
青き踏まむと駆けだしてゆく を
起首:2011年 4月 2日
満尾:2011年 5月 1日
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