2011年5月1日日曜日

脇起し五吟歌仙 春天の巻

 掲示板で巻いていた歌仙が満尾。

   春天に鳩をあげたる伽藍かな   川端茅舎
    木蓮といふ合掌植物       ゆかり
   風光る山郷にふと誘はれて      ぐみ
    このあたりにも落人の裔       ゆ
   ほのぐらき眼窩のそらに月ひとり   銀河
    椎の実に添ふ椎の実の影     あとり
ウ  秋麗の坊ちやん電車でうたた寝す   苑を
    夢で逢はむと衣かへせり       み
   身を責めて羽のあやなす異類婚     河
    北窓ふさぐ写真スタジオ       あ
   二十歳とは風花だつたかもしれず    を
    なかつたといふ伍圓拾圓       ゆ
   交番を出て仰ぎ見る夏の月       み
    禁遊泳の旗翩翻と          河
   文庫本ひらけば砂のいくばくか     あ
    都会の虻は岸田今日子似       を
   身を裂いて花のトロルの荒ぶるる    ゆ
    干鰈焼き酒はぬるめに        み
ナオ 郷愁ハコノ店ノ扉ノウラオモテ     河
    有平棒の輪廻転生          あ
   Maid in Solingen と金の文字      を
    足止め食らふ神の旅立        ゆ
   雪だるま夜半に長靴履くさうな     み
    買つてもらつた新しい傘       河
   ビル風は犂耕体にわたりつつ      あ
    フォークダンスで目と目を合はす   を
   ふつふつとDNAの意のままに     ゆ
    双子それぞれ指輪もらひぬ      み
   穴くぐり月光かへるところなし     河
    秋の水面の左右さかさま       あ
ナウ 渦をなし踊はじまる越後獅子      を
    髪型を変へ立ち直らんと       ゆ
   霊峰を背に手彫りの観音像       み
    笑みもうららか若きお妃       河
   さしのべて空のそこひの花万朶     あ
    青き踏まむと駆けだしてゆく     を


起首:2011年 4月 2日
満尾:2011年 5月 1日

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