掲示板で巻いていた歌仙が満尾。
遠くより二月の海のうねりかな 桂信子
冴返りたる美しき数式 ゆかり
ひむがしに春の結び目ほどかれて 苑を
雲の上行く窓のひとびと ぐみ
猫に髭馬に睫毛の月の宴 銀河
到来ものの南瓜ごろりと 令
ウ 冷ややかに午前零時の継母は うさぎ
くるぶしの汗ひとに拭はせ あとり
にこやかに取材をかはす上半身 ゆ
白昼堂々名画を盗む を
エルガーの行進曲で式挙げて み
べそかきながらやつと一年 河
寒柝は月の裏側までとどく 令
蝙蝠傘のフロイト博士 ぎ
天鵞絨の緑の丘へ続くソファ あ
どんどんどんどん撞球の玉 ゆ
花ふぶく夜は湖となる町に住み を
朝陽に染まる白蝶の群れ み
ナオ 韃靼の春を指したる帆のこころ 河
ときじくの夢違観音 令
てのひらに書き足したるは何の線 ぎ
逆光の鳥まばらに並ぶ あ
土偶から土偶生まるる北の国 ゆ
女スパイは微笑を浮かべ を
髪切るも想ひの丈の絶ちがたく み
寵愛ふかきお腹様とも 河
明日はあす今日はけふとて繭籠る 令
絹ごし豆腐ばかり商ひ ぎ
薔薇窓のくづれてのちの月の暈 あ
森に夢みる蔦の聖堂 ゆ
ナウ 大陸を蝗の群の飛び止まず を
羽うしなひし雪の降り積む み
このところずつとロングのコート着て 河
硝子越しなる笙や篳篥 令
篝火を吸ひ寄せ飽かぬ里の花 ぎ
春の河口の波のきらきら あ
起首:2011年 2月 8日(火)
満尾:2011年 3月16日(水)
0 件のコメント:
コメントを投稿