2012年3月6日火曜日

九吟歌仙・臘梅の巻

掲示板で巻いていた歌仙が満尾。

   臘梅や天空に聞く水の音       まにょん
    いまだ覚めざる地中に蛙       ゆかり
   耕耘機末黒野をゆき末野ゆき      あとり
    卒論にする中原中也         六番町
   満月をのせて空中ぶらんこは       天気
    絹のリボンを解く足首          恵
ウ  階段を上る少女を待ちつづけ       苑を
    若紫なる君の名を知る         ぐみ
   結婚を前提として付き合つて      らくだ
    思ひ出すこし詰めたトランク       ん
   酔ひつぶれ枕にしては固すぎる       ゆ
    昨日も今日も冬瓜炊いたん        あ
   土星より月を眺むる太田君         町
    議事進行の脇で螻蛄鳴く         気
   電車賃貸してくれろとせがまれて      恵
    屋号かたぶく駅前旅館          を
   真つすぐな幹若くして花満開        み
    散りては集ふ蝌蚪に大小         だ
ナオ 吉原の門をくぐれば春の雨         ん
    濡れの具合を指で確かめ         ゆ
   二階から紙飛行機は南へ          あ
    スッチーの売るグッチとシャネル     町
   猪肉の店とぶらへばココとあり       気
    昼は炬燵で寝る吸血鬼          恵
   首筋の疵を隠すに襟を立て         を
    鼻濁音聴く別れのきはに         あ
   おろおろと金子光晴新橋(ポンヌフ)を   町
    廣之進なら記録すいすい         み
   月光をCD-ROMに焼き付けて      だ
    紅葉映せば玻璃は震へる         ん
ナウ ゆふぐれに猫を抱き上げ冬近し       ゆ
    招かれしゆゑ踏み入る小部屋       気
   たまねぎの女王黒船見給ふと        み

    涙の味は苦くて甘い           を
   マラソンは名残の花を眺めつつ       恵
    生まれし川へのぼる若鮎         だ


起首:2012年 2月 9日(木)
満尾:2012年 3月 6日(火)
捌き:ゆかり

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