掲示板で巻いていた歌仙が満尾。
元日の開くと灯る冷蔵庫 池田澄子
屠蘇に赤らむ猫型ロボット ゆかり
棒読みの論語第一聞こえきて 六番町
菊のさかりの湯島聖堂 まにょん
橋ごとに駅どの駅も月の駅 なむ
霧に消えゆく寝台列車 らくだ
ウ トレンチの刑事はひとり眉を寄せ 苑を
まもなく解けるモナリザの謎 ぐみ
結ばれぬ右と左の山笑ふ り
糸をたぐれば公魚たわわ 町
肝つ玉かあさんがゐる春火燵 ん
触れなば落ちん出戻りの役 む
スカーフで隠すゆふべのキスマーク だ
もらつた鍵が熱くてならぬ を
橋蔵が玉屋とさけぶ川開 み
遠巻きにして仔猫あつまり り
花咲いてビジネスランチ停滞す 町
遅刻ばかりの春の夜の夢 ん
ナオ むくつけき身に清盛は衣着て む
始末に困るてんぷら油 だ
秋立つもごめんなさいは言へぬまま を
シーツの干され菊日和なり み
天高く音階練習淀みなし り
低い低い椅子バッハ弾くため 町
穴掘つてキャメラ据えても来ぬ主役 ん
一夜の伽にお竜参上 む
もんもんを背負つたをとこは嫌ひだと だ
明日で仕舞ひの弁天湯まで を
寒月もお化け煙突わすれかね み
首くくるにもからくりのあり り
ナウ ネクタイを夏色にして月曜日 町
薔薇とワインの定年迎へ ん
句読点なき自叙伝を書きあげて む
春は名のみの返品の山 だ
瞑むれば花また花の七重八重 を
散るひとひらは真白なる蝶 み
起首:2012年 1月 5日(木)
満尾:2012年 1月 28日(土)
捌き:ゆかり
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