襟巻となりて獣のまた集ふ 野口る理
虚子の「襟巻の狐の顔は別に在り」の「うまいこと言った」感が苦手な私としては、「また集ふ」と言いとめた、さらりとしたユーモアがとても好きです。ささやかな幸せはささやかな幸せとして謳歌したいものです。
初夢の途中で眠くなりにけり 野口る理
まるでそれまで寝ていなかったような、この嘘っぽさ、すごくいいです。
佐保姫や映画館てふ簡易夜 野口る理
「簡易夜」、辞書を引いても検索しても見あたりません。「簡易宿」を誰かが清記ミスして、それを一同面白がったので決定稿にしてしまったのでしょうか。簡易夜である映画館の外では、折しも佐保姫が春の光をまき散らしているのです。
浴衣脱げば脱ぎ過ぎたやうな気も 野口る理
破調がとまどいの感じをよく伝えています。言われてみれば、確かに中間がないのです。実に面白い感覚です。
人日のさて注文は全部入り ゆかり
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