寒暮大久保はピカソにて小島のり子(fl)×大口純一郎(p)デュオを聴く。
(1st set)
1-1)I thought about you
1-2)雪譜
1-3)darn that dream
1-4)over the rainbow
1-5)in walked Bud
(2nd set)
2-1)枯葉
2-2)holy land
2-3)travesia
2-4)when i fall in love
2-5)開運
大口純一郎さんはオスカー・ピーターソンみたいに空間を埋め尽くすタイプではないから、デュオは空間という味方でも敵でもある恐るべきものとの、実はトリオなのであって、大いにスリリングで楽しかった。随所、大口さんは空間を味方につけて、だましにかかる。
小島のり子さんのオリジナルの1-2)、「ハッシャバイ」のようなコーダルな部分と、ペダルポイントの部分が交互に現れるワルツなのだが、実に美しい。音量のコントロールで、ふっと耽美的世界にふたり足を踏み入れるあの感じ。これこそデュオの醍醐味というものだろう。
普通はスローバラードで演奏されることの多い1-4)、テンポを上げただけでなく、何小節か付け足していたのか。古いスタンダードに新しい表情があった。
モンクの1-5)、コンポジションの異常さと大口さんの個性とデュオの特異性との相乗効果により、この日いちばんスリリングな演奏だった。後テーマの後、また始まってしまったflとpの長いソロ交換の応酬、いやあ、素晴らしかった。
2-1)、演奏に関係ないことをこの際、声を大にして言いたいのだが、autumn leavesという英題にだまされてはいけない。歳時記では「枯葉」は冬の季語なのである。
2-2)はシダー・ウォルトン作のマイナー・ブルース。原曲は聴いたことがなく、25年くらい前に峰厚介さんや本田竹曠さんたちがしばしば演奏
していた記憶が。ようやく、題名が分かりました。本日の演奏ではブルース・パートだけでなく、速度が変幻自在なバースのようなパートもあり。きっと原曲が
そうなのだろう。
2-3)はミルトン・ナシメント作。ブラジルの中学生の混声合唱の課題曲のような雰囲気。
2-4)はアルト・フルートによるスロー・バラード。そこらのフルート奏者にありがちな上手そうにつける自動的なビブラートを嫌う小島のり子さんの、ここぞというときのビブラートには悩殺される。
なんか、もう、ほんとに楽しかった。アフターアワーズは、ミュージシャンのお二人、M氏に私もお邪魔し「でめ金」。大口さんは私と同じ中学の大
先輩だったことが判明。音楽教師が同じだった。M氏はその中学に隣接する高校出身。ちなみに小島のり子さんとしばしば共演するもう一人のピアニストの二村
さんは私と同じ高校の2年か3年先輩。世の中はへんにせまい。
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