2013年11月4日月曜日

七吟歌仙・帰燕の巻

掲示板で巻いていた連句が満尾。

   二度三度橋をくぐりて帰燕かな  まにょん
    釣瓶落としの歪む輪郭      ゆかり
   月明に子規の色紙を取り出して    銀河
    飛球・走者と文字なぞりつつ    ぐみ
   神宮の森に復員兵集ふ        なむ
    夜店に並ぶ義足や義眼        七
ウ  離岸流切り分けてゆくクロールの   泥酔
    姫の敷布をそつと抱きしめ      ん
   天鵞絨の襟に埋める泪顔        り
    一角獣は犀の眷属          河
   洞穴の壁画に狩の息づかひ       み
    石蠟に似て凍空の月         む
   たましひの容れものはみな不定形    七
    方円となる酒は上善         酔
   裏庭に七賢おはす朧にて        ん
    たかまつてゆく春のオルガン     り
   窓外のいよよ明るむ花ふぶき      河
    カーテン揺れて金魚ひらりと     み
ナオ 夜の襞へ苔清水浸み入る如し      む
    遠く近くに覚ゆる吐息        七
   後ろ髪結ひあげかねつきぬぎぬは    酔
    第五レースではや素寒貧       ん
   降る雪が良貨も悪貨も駆逐する     り
    噴火噴煙やつと已むとも       河
   煮詰まりしどぜう鍋なりどうしやう   み
    行方不明のをととひと肚裡      む
   迷ひこむ九龍城は深い秋        七
    截拳道の師父冷まじく        酔
   墓石に鋭き月の光射し         ん
    猿が太鼓を叩く始まり        り
ナウ 顔見世に若手役者の勢ぞろひ      河
    改築済んで横文字ふやし       み
   止り木を降りて喫煙席探す       む
    春の水踏む公園通り         七
   まなじりに帯に小袖に花尽くし     酔
    空を畏れず溢れ出る蝶        ん


起首:2013年 9月18日(水)
満尾:2013年11月 4日(月)
捌き:ゆかり

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