2014年5月8日木曜日

脇起し七吟歌仙・蝶の眼の卷

掲示板で巻いていた連句が満尾。

   蝶の眼の冥く荒れたる眞晝かな    月犬
    反轉したる菜の花の黄      ゆかり
   水温む因幡の國と書き添へて    藤幹子
    うつむきがちに通る寺町      苑を
   鈴の音の仕舞ひは月に吸ひ込まれ    恵
    雲英粉をまぶす花野の圖柄      七
ウ  蜻蛉の羽を背中に求愛す     まによん
    神仙郷には天女百人        月犬
   物干の滿艦飾に夏の雲         り
    海へ海へと金魚屋の聲        子
   夜汽車とは天井棧敷ではないか     を
    手刀を切り受くる懸賞        恵
   賽振れば窓にかかれる冬の月      七
    猫を枕に日向ぼこして        ん
   水音の滿ちてくるらしわが胸に     犬
    今はの際の絃樂合奏         り
   山姥の爪を切る日か飛花落花      子
    新社員くん鉛筆を噛む        を
ナオ 佛蘭西語ですと言ひ張り津輕辯     恵
    すまんすまんと口癖遺傳       七
   燈臺の螺旋階段驅け昇り        ん
    幾歳月を妻とふたりで        犬
   戀といふ名の旅をしてゐたと言へ    り
    巖窟王に轡を喰ませ         子
   父と子と離れて歩く冬田道       を
    砂鐵の描く妖しき模樣        恵
   全身にタトゥを入れる種族住み     七
    霧を吐き出す水晶の谷        ん
   吊橋も月の滴に濡れる夜の       犬
    實石榴裂けて南野陽子        り
ナウ セーターをほぐせば蜂蜜のにほふ    子
     瓶詰にして賣る雪女郎        を
   目藥を點すとき動く喉佛        恵
    切手舐めれば甘き春風        七
   ひとひらの花の行方と青空と      ん
    ふらここ高く氣圈をあとに      犬


起首:2014年 3月 2日(日)
満尾:2014年 5月 8日(木)
捌き:ゆかり

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