2015年5月18日月曜日

五吟歌仙 お台場の巻

掲示板で巻いていた連句が満尾。

   お台場に汐の香つのる柳かな      媚庵
    観覧車から霞む半島        ゆかり
   老いかねしうぐひすの音の絶えずして  銀河
    画布の小径に入れる紫         令
   睡蓮の夢みる頃を照らす月       苑を
    竹伐る人と詩を書く人と        庵
ウ  あひみてののちのこころの秋茜      り
    砂漠の百里四方友無く         河
   幻の泛かぶひねもすよもすがら      令
    高層ビルの非常階段          を
   土鍋もち屋台へおでん買ひに出る     庵
    練物ばかり選ぶ人妻          り
   飛魚の波切つてゆき滑るやう       河
    北回帰線こゆる唐船          令
   積み上がる発禁本に春寒し        を
    カストリ煽る四月馬鹿の日       庵
   中年のしのび泣く夜の脳に花       り
    極限で似るものの家にて        河
ナオ 荷が着いて天地無用の大きな字      令
    走るときには走るペリカン       を
   アジトより黒の歌姫あらはれて      庵
    眼窩のうづく黄色い太陽        り
   近づくに日本国旗のあざやかな      河
    長い隊列麦畑ゆく           令
   梅雨冷に喇叭マークの薬瓶        を
    元モガなれどいま二児の母       庵
   立秋をローアングルのカメラ這ふ     り
    燕去る日の風に色なく         河
   枝折戸の鈴を鳴らして月の客       令
    ブーケ・ガルニの香る厨房       を
ナウ 万巻の書のしづけさに雪明り       庵
    燐寸を擦ればつかのまの暖       り
   かつて街であつたあたりを撮りなほす   河
    軌道の跡に薄氷を踏み         令
   須呵摩提へといちめんの花筏       を
    お江戸の春の美しき夕映え       庵

起首:2015年 4月30日
満尾:2015年 5月18日
捌き:ゆかり


初折裏12句目「極限で似るものの家」は岐阜県養老の滝付近のテーマパーク「養老天命反転地」の惹句。

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