掲示板で巻いていた連句が満尾。
お台場に汐の香つのる柳かな 媚庵
観覧車から霞む半島 ゆかり
老いかねしうぐひすの音の絶えずして 銀河
画布の小径に入れる紫 令
睡蓮の夢みる頃を照らす月 苑を
竹伐る人と詩を書く人と 庵
ウ あひみてののちのこころの秋茜 り
砂漠の百里四方友無く 河
幻の泛かぶひねもすよもすがら 令
高層ビルの非常階段 を
土鍋もち屋台へおでん買ひに出る 庵
練物ばかり選ぶ人妻 り
飛魚の波切つてゆき滑るやう 河
北回帰線こゆる唐船 令
積み上がる発禁本に春寒し を
カストリ煽る四月馬鹿の日 庵
中年のしのび泣く夜の脳に花 り
極限で似るものの家にて 河
ナオ 荷が着いて天地無用の大きな字 令
走るときには走るペリカン を
アジトより黒の歌姫あらはれて 庵
眼窩のうづく黄色い太陽 り
近づくに日本国旗のあざやかな 河
長い隊列麦畑ゆく 令
梅雨冷に喇叭マークの薬瓶 を
元モガなれどいま二児の母 庵
立秋をローアングルのカメラ這ふ り
燕去る日の風に色なく 河
枝折戸の鈴を鳴らして月の客 令
ブーケ・ガルニの香る厨房 を
ナウ 万巻の書のしづけさに雪明り 庵
燐寸を擦ればつかのまの暖 り
かつて街であつたあたりを撮りなほす 河
軌道の跡に薄氷を踏み 令
須呵摩提へといちめんの花筏 を
お江戸の春の美しき夕映え 庵
起首:2015年 4月30日
満尾:2015年 5月18日
捌き:ゆかり
註
初折裏12句目「極限で似るものの家」は岐阜県養老の滝付近のテーマパーク「養老天命反転地」の惹句。
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