2016年2月13日土曜日

七吟歌仙 ひとすぢのの巻

掲示板で巻いていた連句が満尾。

   ひとすぢの飛行機雲や筆始     ぐみ
    海と接するまろき初空     ゆかり
   酒満たす壺に小さき耳ありて    月犬
    秋の蝶来て何か囁く        七
   月光のあまねき川の流れたる   てふこ
    しめぢを採りに上る山道     苑を
ウ  洋館に近寄らぬやう釘をさし   らくだ
    いとしさ余つて藁の人形      み
   心なきブリキの身となのたまひそ   り
    保護責任者遺棄の疑ひ       犬
   ともだちのゾンビと遊ぶ夢の島    七
    あそこに見える千葉県の影     こ
   ひたすらに夕陽に向かひ知事走る   を
    胴着干されて月の涼しき      だ
   頭のうへをナポリに紐はめぐらされ  み
    電子レンジで加熱四分       り
   通勤の車窓に濠の花あふる      犬
    朧夜を売る恍惚の人        七
ナオ どこかしらきしみ続けて風車     こ
    土産物屋の座布団に猫       を
   高座から野次が下手だと怒られて   だ
    はや夏いろの喜多美術館      み
   我々に恋の幟の翻る         り
    縺れた糸をほぐす交はり      犬
   婦人誌の付録に入れる懸想文     七
    目力も無く女子力も無く      こ
   ウナギ目ウミヘビ科ヒレアナゴ属   を
    海底火山噴火を予知す       だ
   満月にやかんの蓋は踊り出し     み
    夜長を吠える銀の目の犬      り
ナウ 人知れず割れて真つ赤な柘榴かも   犬
    四辻曲がれば黄泉比良坂      七
   ちよび髭の貌の大抵三鬼めく     こ
    老婆寄り合ひ捏ねる草餅      を
   待ちわびし文殊の寺の花便り     だ
    生まれし仔馬塔を仰ぎぬ      み


起首:2016年 1月17日(日)
満尾:2016年 2月13日(土)
捌き:ゆかり

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