東京の夜に平成の淑気かな 媚庵
やがて迎へる最後の初日 ゆかり
横綱の決めた覚悟の伝はつて 風牙
こむらがへりのかすかにかすめ 青猫
カーテンに金糸銀糸でかがる月 れいこ
飾りすぎたる案山子を据ゑる 月犬
ウ 鶺鴒の叩くあたまのみづの音 秀雄
栞をはさむ濹東綺譚 庵
音もなくスカイツリーの影のびて り
モスラが次に現るゝとき 牙
暴動ののちの向日葵昏睡す 猫
衛星写真に映るあなたと こ
言ふならば未亡人的腰使ひ 犬
吸はれて茎の塵となるまで 雄
日の丸に礼す建国記念の日 庵
御恩報ひず春の容疑者 り
一房を千切るは易き花の枝 牙
すでに文殻水の流れに 猫
ナオ コーラスのところどころに城達也 こ
北京のノイズ幽かに聴こえ 犬
日のなかを石踏みながら戦車くる 雄
夏草揺らすノストラダムス 庵
けふもまた火星おほきくなつてゐて り
多分煙草と違ふ匂ひだ 牙
ゆめやゆめうつつやうつつうすべにの 猫
家政婦は見た白菜の虫 こ
アリランの調べは雪の丘を越え 犬
谷の底から来る隠喩たち 雄
真夜中の月明り浴びバスの中 庵
蚯蚓鳴くてふルージュの伝言 り
ナウ また同じ人がドラムス文化祭 牙
ほつと息して記紀をひもとく 猫
木曜の肘掛椅子の反り具合 こ
螺鈿細工の秘密の小匣 犬
本能の蓋をひらけば花明り 雄
縄文弥生鳴く百千鳥 庵
起首:2019年 1月 3日
満尾:2019年 1月18日
捌き:ゆかり
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