2010年3月9日火曜日

六吟歌仙・女正月の巻

   うつつなるなゐと寒さや女正月      銀河
    御殿山には踊る裸木         ゆかり
   籐椅子に島の陽射しは音たてて   ざんくろー
    遠天めざす飛魚の意気         ぐみ
   その男月をまとひて佇みぬ        苑を
    長々し夜のほどく包帯          七
ウ  さはやかに嬲るうなじのキスマーク     河
    アンドロメダがのびちぢみする      り
   雲梯を降りて八月十五日          ー
    飢ゑも励ます夢は関取          み
   てのひらに薄紅零す茱萸の酒        を
    気まま暮らしにピリオドを打つ      七
   リクルートスーツ面接ずれのして      河
    氷河鼠の毛皮ほどにも          り
   六情を剥ぎ取られたる朧月         ー
    煮ても焼いても桑名はまぐり       み
   吹きくればあの世の匂ふ花あらし      を
    休耕田の放置されをり          七
ナオ 鼻唄をうたひ髭剃る夫のゐて        り
    あすは船出の桟橋の揺れ         河
   無人島せり落とせしは実は我        み
    ひたむきにある宇宙引力         ー
   通底器汚れ落として古物屋へ        七
    壁から生えて腕に静脈          を
   血圧の上がらぬやうな恋せよと       り
    巻尺添へるちちははの恩         河
   モンローと同じ香水着けてみる       み
    徒手空拳の八戸市議も          ー
   ねだられて月旅行への切符買ふ       七
    穴惑ひしてゐたら鞄に          を
ナウ 前世がなかつた頃の赤林檎         り
    かの大岩にたたきつけられ        河
   みんな来てギプスの脚に寄書きす      み
    雛の口もなめらかとなり         ー
   花吹雪くこの世の夢を飲みほせば      七
    五大陸から湧き上がる蝶         を

起首:2010/01/14 02:27
満尾:2010/02/20 11:07
捌き:ゆかり

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