2010年3月10日水曜日

脇起七吟歌仙・家じゆうの巻

   家じゆうの声聞き分けて椿かな       爽波
    筒をふたする卒業証書         ゆかり
   なによりも銀色の風ひかるらむ        令
    二番手につくどさんこ競馬        由季
   開拓の村の広場に昼の月          銀河
    アップルパイの焦げてゐる皮       苑を
ウ  マスターは上手に秋草をかざり      ぽぽな
    空になりたいといふ梟       ざんくろー
   スージーと逢魔が時を待つてをり       り
    あやふくなりぬ兄人(せうと)との垣     令
   血に濡れて恋文ひらく勇魚取         季
    絵詞の島雪ふるは希れ           河
   歌舞伎座の瓦にかかる夏の月         を
    単帯など誉め合ひながら          な
   幾千も女賭場師は骰を振る          ー
    人知れずこそゆがむ骨盤          り
   ウォーキングコースを変へて花の道      令
    消費カロリーしやぼんだまほど       季
ナオ 隠れ棲む宇宙人にも春来たり         河
    屋根裏部屋に解体新書           を
   eBayのクリック音の夜もすがら        な
    黒猫きたるカロンセギュール        ー
   末裔はデッキブラシで空を飛び        り
    偏愛さるるつめたい兵器          令
   人柱決めるじやんけん粛々と         季
    三階0号室の怪談             河
   みづいろのペンキで扉塗りませう       を
    美大出てゐるボーイフレンド        な
   満ちきらぬ月を待ちたる余白あり       ー
    追伸に書く鵯のこと            り
ナウ 越えがたき坂は木の実と道祖神        令
    自転車を押し虹の彼方へ          季
   母の呼ぶ声か寝ざめの風鈴か         河
    藍の刺し子で茶巾をつくる         を
   生還を果たして花の盛りなり         な
    頷いてゐるやうな春昼           ー

起首:2010/02/26 22:24
満尾:2010/04/01 23:14
捌き:ゆかり

 波多野爽波の句を発句として、掲示板にて巻いた歌仙です。

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