家じゆうの声聞き分けて椿かな 爽波
筒をふたする卒業証書 ゆかり
なによりも銀色の風ひかるらむ 令
二番手につくどさんこ競馬 由季
開拓の村の広場に昼の月 銀河
アップルパイの焦げてゐる皮 苑を
ウ マスターは上手に秋草をかざり ぽぽな
空になりたいといふ梟 ざんくろー
スージーと逢魔が時を待つてをり り
あやふくなりぬ兄人(せうと)との垣 令
血に濡れて恋文ひらく勇魚取 季
絵詞の島雪ふるは希れ 河
歌舞伎座の瓦にかかる夏の月 を
単帯など誉め合ひながら な
幾千も女賭場師は骰を振る ー
人知れずこそゆがむ骨盤 り
ウォーキングコースを変へて花の道 令
消費カロリーしやぼんだまほど 季
ナオ 隠れ棲む宇宙人にも春来たり 河
屋根裏部屋に解体新書 を
eBayのクリック音の夜もすがら な
黒猫きたるカロンセギュール ー
末裔はデッキブラシで空を飛び り
偏愛さるるつめたい兵器 令
人柱決めるじやんけん粛々と 季
三階0号室の怪談 河
みづいろのペンキで扉塗りませう を
美大出てゐるボーイフレンド な
満ちきらぬ月を待ちたる余白あり ー
追伸に書く鵯のこと り
ナウ 越えがたき坂は木の実と道祖神 令
自転車を押し虹の彼方へ 季
母の呼ぶ声か寝ざめの風鈴か 河
藍の刺し子で茶巾をつくる を
生還を果たして花の盛りなり な
頷いてゐるやうな春昼 ー
起首:2010/02/26 22:24
満尾:2010/04/01 23:14
捌き:ゆかり
波多野爽波の句を発句として、掲示板にて巻いた歌仙です。
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