掲示板で巻いていた歌仙が満尾しました。
托卵の殻わる音やほととぎす 銀河
母なるものの動く夏暁 ゆかり
私がダム湖の底に沈みゐて ざんくろー
遠くにお墓参りの人々 ぽぽな
月に触れ風の数知る摩天楼 ぐみ
コーヒーカップにとまる秋蝶 苑を
ウ 団扇置く手の傾きを撮られをり 河
水のかたちのオブジェの気持ち り
さみだるる三階婦人服売場 ー
美しすぎていまだ独身 な
空を飛ぶ夢ひたすらに雄孔雀 み
微熱のやうな雨にふられて を
凍月を曳いて北極海の波 河
写実的なる聖ニコラウス り
春昼を偶像のまま置き去りに ー
次から次へシャポン玉ゆく な
息止めて落花の渦に逆らはず み
立ち食ひ蕎麦に七味たつぷり を
ナオ 快速の大垣行きにひとり乗る り
顔立ちしかと焼きつけて来ぬ 河
もういちどだけ会ひたいと藍浴衣 な
水羊羹と合鍵持つて ー
膝枕して伯剌西爾を応援す を
浅草つ子の陽気な産婆 み
雷を起こし源内捕らはるる り
まさに歴史の動くからくり 河
日めくりをめくり八月十五日 な
はがきハイクの黍嵐来て ー
戯れをせむと嫦娥を招き入れ を
魚拓のやうな恋の凸凹 み
ナウ 老いらくの抜き差しならぬ掘炬燵 り
灰掻き立てる銀の火箸も 河
回廊のどこかに時の亀裂あり を
色混ぜぬやう初虹渡る み
花の香をふりまきながら女神たち な
春たけなはを統べる世界樹 ー
起首 2010/06/21
満尾 2010/07/19
捌き 三島ゆかり
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