2010年9月9日木曜日

お祝ひ歌仙・点るの巻 満尾

 掲示板で巻いていた小林苑をさん句集『点る』上梓お祝ひ脇起し歌仙・点るの巻が満尾しました。

   遡るやうに夜店の点りけり            苑を
    水風船の決めかねる色            ゆかり
   ぽつぽつと五線に音符書き込みて          七
    顔出してゐる可愛い悪魔           ぽぽな
   月高く肝胆照らしあふ仲を            銀河
    しろがねの文字菊の香りも           ぐみ
ウ  てのひらにいのちのやうに蓮の露          七
    祝言之儀の山粧ひて           ざんくろー
   ご馳走が運ばれるたび平らげる           な
    ギネスブックに名をとどろかせ          河
   透ける紙表紙にかけていとほしむ          み
    夏の月借り栞にしませう             七
   雨夜でもなきををのこの四人(よたり)寄り     令
    猫ぢや猫ぢやが踊りたくなる           り
   幽霊も名のりを上げて出でたりし        のかぜ
    中央線にて時空超えむと             み
   隕石の落ちたるといふ花の森            河
    春の苺を妹と摘む                七
ナオ 覗きこむ三稜玻璃に光る風             令
    いちめんのあを耶蘇教のそら           ぜ
   水無月は感情論で流されて             ー
    えんやこら今夜も棹をさす            り
   メケメケの面影いづこ黄色髪            み
    四分の一は父の父の血              り
   永遠にこの日の八時十五分             河
    混める通学バスに抱きあふ            令
   一途なる恋の終点見当らず             み
    お辞儀の多きハンドパペット           ぜ
   夕暮のテーマパークに月ありて           な
    鞄いつぱい鰯雲詰め               七
ナウ 旅に出て柴又思ふ秋の末              み
    凍る銀河に犬橇の道               河
   外套のフードに隠す編み巻毛            ぜ
    卒業したら都会に行くの             な
   約束を封印したる花ひとひら            を
    遺伝子により生まれつぐ蝶            ー

起首 2010/07/03
満尾 2010/09/09
捌き 三島ゆかり

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