2011年1月30日日曜日

きざし2

若葉風らららバランス飲料水      宮本佳世乃

 句会に行くと推敲好きな人がいて、例えば仮に「若葉風バランス飲料水を飲む」(改悪例)みたいな句を見ると、「『飲む』はいらないんじゃないかな。『バランス飲料水』を句またがりにして下五に持って行った方が落ち着くな。『若葉風○○○バランス飲料水』。○○○のところは自分で考えて下さい」などという。○○○は人によって「ららら」と発音されたり「たたた」と発音されたりする。
 この句がそういうプロセスを経て作られたものかは定かではない。たぶん違うだろう。が、そんなことがあったりもするので、この「ららら」には一回しか使えない手でやられてしまった感がある。この句によって、以後人類は永遠に「ららら」を俳句に使用できなくなったのである。季語のさわやかさもあいまって、「ららら」が実に決まっている。五十歳代以上の人なら「鉄腕アトム」の主題歌(谷川俊太郎作詞)をも思い出すかも知れない。

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