2011年7月29日金曜日

両吟歌仙・秋蝉の巻

掲示板で巻いていた歌仙が満尾。


   秋蝉やナイロンひかる落下傘             ゆかり
    色なき風に甘き横文字                 り
   月も乗せ客船の旅整ひて                ぐみ
    物見の山に動く人影                  み
   遠近法もちひすはこそ天狗様               り
    大風呂敷で包む大法螺                 り
ウ  果しなき唐草模様とカルーセル              み
    姉妹の屋根に雪降り募り                み
   百合族のはじめは鏡殺しの刑               り
    牛車の列の三里四里とも                り
   土用波あやつる我の背に翼                み
    提灯に舌からかさに足                 み
   火にあぶり肴としたる神無月               り
    ひと雨ごとに海の近づく                り
   煙草屋の嫗舟漕ぐ昼下がり                み
    赤いかつらは草間彌生か                み
   幕をなし花の散りゆく嵐山                り
    等高線のとほり春めく                 り
ナオ 切り株に当つて転ぶうさぎゐて棚の下には大き皿など    み
   きんいろの懐中時計に鎖あるやうに私の時は囚はれ     り
   濃い霧に自由の女神は右の手を下げて休みぬ少し微笑み   み
   土曜日の夜は熱出す土曜日の夜は寝るだけ土曜日の夜    り
   月ぞ知る大日本は銃後にも月月火水木金金         み
   秋といふ逢魔が時をひとつづつ街灯ともり影は四方に    り
ナウ お手玉の数へ歌など思ひ出し孔雀の庭を丸く掃きをり    み
   どの窓も曇つてゐたる温室の順路に沿つて食虫植物     り
   すべからく天めざすべし花と翅ともに地の舞ひ楽しみてのち み


起首:2011年 6月25日(土)
満尾:2011年 7月29日(金)
捌き:ゆかり

 ご覧の通り、初折は二句ずつで交代し、名残の折はそのまま二句をつなげたかたちで短歌とした。

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