掲示板で巻いていた歌仙が満尾。
秋蝉やナイロンひかる落下傘 ゆかり
色なき風に甘き横文字 り
月も乗せ客船の旅整ひて ぐみ
物見の山に動く人影 み
遠近法もちひすはこそ天狗様 り
大風呂敷で包む大法螺 り
ウ 果しなき唐草模様とカルーセル み
姉妹の屋根に雪降り募り み
百合族のはじめは鏡殺しの刑 り
牛車の列の三里四里とも り
土用波あやつる我の背に翼 み
提灯に舌からかさに足 み
火にあぶり肴としたる神無月 り
ひと雨ごとに海の近づく り
煙草屋の嫗舟漕ぐ昼下がり み
赤いかつらは草間彌生か み
幕をなし花の散りゆく嵐山 り
等高線のとほり春めく り
ナオ 切り株に当つて転ぶうさぎゐて棚の下には大き皿など み
きんいろの懐中時計に鎖あるやうに私の時は囚はれ り
濃い霧に自由の女神は右の手を下げて休みぬ少し微笑み み
土曜日の夜は熱出す土曜日の夜は寝るだけ土曜日の夜 り
月ぞ知る大日本は銃後にも月月火水木金金 み
秋といふ逢魔が時をひとつづつ街灯ともり影は四方に り
ナウ お手玉の数へ歌など思ひ出し孔雀の庭を丸く掃きをり み
どの窓も曇つてゐたる温室の順路に沿つて食虫植物 り
すべからく天めざすべし花と翅ともに地の舞ひ楽しみてのち み
起首:2011年 6月25日(土)
満尾:2011年 7月29日(金)
捌き:ゆかり
ご覧の通り、初折は二句ずつで交代し、名残の折はそのまま二句をつなげたかたちで短歌とした。
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