2011年9月3日土曜日

脇起し七吟歌仙・木をのぼるの巻

掲示板で巻いていた歌仙が満尾。発句は正木ゆう子『静かな水』(春秋社 2002年)より。

脇起し七吟歌仙・木をのぼるの巻

   木をのぼる水こそ清し夏の月    正木ゆう子
    ものみな交む夜の涼しさ       ゆかり
   片袖に色なき風をはらませて       苑を
    竜田姫舞ふ山のまにまに        ぐみ
   人の輪に入れてもらへぬゐのこづち   あとり
    かゆきところに借りし孫の手      銀河
ウ  失せ物を探すがごとく慈姑掘る    しんぱち
    鬼門のあたり亀の鳴くなり       由季
   よく縛り春の灯しをよく垂らし       り
    園児にもある三角関係          を
   かまきりのうりざね顔は見当らず      み
    みな背を向けて鯊釣りの舟        あ
   子規の忌の友の去りたる月の門       河
    硝子の壺に充つる煎餅          ち
   キューに粉つけてブレイクうつくしく    季
    仁義礼智忠信孝悌            り
   その犬は花見の客をめぐりゐて       を
    西郷どんに白酒もらひ          み
ナオ こまがへる草踏み帰る遠き路        あ
    魚たちの池埋めたてられて        河
   着ぶくれが着ぶくれを連れ分譲地      ち
    家族会議は雪で中断           季
   音立てて砂吐いてゐる鍋の貝        り
    時のはざまに入つてしまふ        を
   「有夫恋」繰れば獣姦てふ文字に      み
    半身は魚半身は山羊           あ
   いつのまに木登りおぼえたりけるは     河
    洞の桑の実酒を醸して          ち
   がうがうと月を火にくべ後夜祭       り
    昔ばなしを語る蟋蟀           を
ナウ 声優のたまご黄葉づる窓に立ち       季
    目鼻なき雲ほのと香るも         み
   混沌の包まれてゐる水餃子         あ
    たまの朝寝をなどや起こされ       河
   女房とかはらけを投げ花吹雪        ち
    金婚式を告ぐるうぐひす         季


起首:2011年 8月 2日
満尾:2011年 9月 3日
捌き:ゆかり

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