掲示板で巻いていた歌仙が満尾。発句は正木ゆう子『静かな水』(春秋社 2002年)より。
脇起し七吟歌仙・木をのぼるの巻
木をのぼる水こそ清し夏の月 正木ゆう子
ものみな交む夜の涼しさ ゆかり
片袖に色なき風をはらませて 苑を
竜田姫舞ふ山のまにまに ぐみ
人の輪に入れてもらへぬゐのこづち あとり
かゆきところに借りし孫の手 銀河
ウ 失せ物を探すがごとく慈姑掘る しんぱち
鬼門のあたり亀の鳴くなり 由季
よく縛り春の灯しをよく垂らし り
園児にもある三角関係 を
かまきりのうりざね顔は見当らず み
みな背を向けて鯊釣りの舟 あ
子規の忌の友の去りたる月の門 河
硝子の壺に充つる煎餅 ち
キューに粉つけてブレイクうつくしく 季
仁義礼智忠信孝悌 り
その犬は花見の客をめぐりゐて を
西郷どんに白酒もらひ み
ナオ こまがへる草踏み帰る遠き路 あ
魚たちの池埋めたてられて 河
着ぶくれが着ぶくれを連れ分譲地 ち
家族会議は雪で中断 季
音立てて砂吐いてゐる鍋の貝 り
時のはざまに入つてしまふ を
「有夫恋」繰れば獣姦てふ文字に み
半身は魚半身は山羊 あ
いつのまに木登りおぼえたりけるは 河
洞の桑の実酒を醸して ち
がうがうと月を火にくべ後夜祭 り
昔ばなしを語る蟋蟀 を
ナウ 声優のたまご黄葉づる窓に立ち 季
目鼻なき雲ほのと香るも み
混沌の包まれてゐる水餃子 あ
たまの朝寝をなどや起こされ 河
女房とかはらけを投げ花吹雪 ち
金婚式を告ぐるうぐひす 季
起首:2011年 8月 2日
満尾:2011年 9月 3日
捌き:ゆかり
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