掲示板で巻いていた歌仙が満尾。
白萩や書架に旧りたる千字文 あとり
たつぷり運ぶ秋の太筆 ゆかり
時差を越え今宵の月に二度会ひて ぐみ
街を見下ろす東京タワー 楚良
菜の花のなかを徐行の中継車 由季
声の上ずる新入社員 ぽぽな
ウ 空箱に猫の子出たり入つたり 沖らくだ
鍵を左にひねる指先 あ
くちびるで塞がれてゐる梅雨の闇 ゆ
はや明烏ゆめのとけゆき み
みづうみにつれだつてくる童子たち 良
浮御堂にも避難勧告 季
最新のスマートフォンのレイアウト な
毛布被りてゲラ刷りを読む だ
立春にうまく剥けない茹卵 あ
雪残る湯に猿とつかりて ゆ
惑星の贅つくしたる大花見 み
のつぴきならぬ翁らの舞 良
ナオ 立ち位置の目印としてくわりんの実 季
人文字できる秋の校庭 な
かまきりが座敷わらしを連れてきて だ
炉に落としたる入歯を探す あ
操業を停止してラグビー場へ ゆ
二色えらび縞馬となり み
草原の遠き彼方に住む少女 良
駆け落ちの朝ほどく三つ編み 季
白シャツの先生の腕たくましく な
やる気の見えぬ夏季補習組 だ
砂浜に楽譜燃しつつ月を待つ あ
空んずるべし此の曼珠沙華 ゆ
ナウ 鉄鉢に秋風満たし僧の列 み
ぶつきら棒に答へる倅 良
メンデルの法則による豆の皺 季
朝の廚に春の陽あふれ な
ゆく人のみな見とれたる花吹雪 だ
国境なく笑ふ山々 あ
起首:2011年 9月13日
満尾:2011年10月 7日
捌き:ゆかり
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