2011年10月7日金曜日

七吟歌仙 白萩の巻

掲示板で巻いていた歌仙が満尾。

   白萩や書架に旧りたる千字文     あとり
    たつぷり運ぶ秋の太筆       ゆかり
   時差を越え今宵の月に二度会ひて    ぐみ
    街を見下ろす東京タワー       楚良
   菜の花のなかを徐行の中継車      由季
    声の上ずる新入社員        ぽぽな
ウ  空箱に猫の子出たり入つたり    沖らくだ
    鍵を左にひねる指先          あ
   くちびるで塞がれてゐる梅雨の闇     ゆ
    はや明烏ゆめのとけゆき        み
   みづうみにつれだつてくる童子たち    良
    浮御堂にも避難勧告          季
   最新のスマートフォンのレイアウト    な
    毛布被りてゲラ刷りを読む       だ
   立春にうまく剥けない茹卵        あ
    雪残る湯に猿とつかりて        ゆ
   惑星の贅つくしたる大花見        み
    のつぴきならぬ翁らの舞        良
ナオ 立ち位置の目印としてくわりんの実    季
    人文字できる秋の校庭         な
   かまきりが座敷わらしを連れてきて    だ
    炉に落としたる入歯を探す       あ
   操業を停止してラグビー場へ       ゆ
    二色えらび縞馬となり         み
   草原の遠き彼方に住む少女        良
    駆け落ちの朝ほどく三つ編み      季
   白シャツの先生の腕たくましく      な
    やる気の見えぬ夏季補習組       だ
   砂浜に楽譜燃しつつ月を待つ       あ
    空んずるべし此の曼珠沙華       ゆ
ナウ 鉄鉢に秋風満たし僧の列         み
    ぶつきら棒に答へる倅         良
   メンデルの法則による豆の皺       季
    朝の廚に春の陽あふれ         な
   ゆく人のみな見とれたる花吹雪      だ
    国境なく笑ふ山々           あ


起首:2011年 9月13日
満尾:2011年10月 7日
捌き:ゆかり

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