人影や空に銀漢河口に火 月犬
露におもたき石炭袋 ゆかり
月の宴十二単の居並びて らくだ
jour du Japon なる巴里の小春日 ぐみ
横向きの女神の頬に消印を あとり
もう一度だけ会つてください ぽぽな
ウ 寄せ返す恋と別れの弁証法 犬
しやうがないのは雨の日のゆゑ ゆ
客待ちのタクシー並ぶ駅前に だ
横目で過ぎる把瑠都臥牙丸 み
オーロラは一筆書きの人の型 あ
地には小さき焰うまれて な
燈台といふ望郷があるとせよ 犬
月は泉にこんこんと湧き ゆ
東山魁夷の青が見たくなり だ
スタンダールの小説を閉づ み
鼈甲の眼鏡の縁に花の雨 あ
富士見高原病院の春 な
ナオ はだれ野を臓器のために生まれきて ゆ
深き森へと鹿の子を放つ あ
千代紙の花嫁人形手すさびに み
伊勢の土産の赤福届く 犬
昼すぎはレゲエばかりのラジオ局 な
美声のための労は惜しまず だ
手をつなぎ光合成をしませうか ゆ
堰き止めの湖乾け乾けと あ
銀の匙くわえ生まれしみどりごよ み
文庫本のみ商ふ古書店 犬
満月は神田明神通過中 な
大捕物に踏まるるぎんなん だ
ナウ マドンナにマドモアゼルに秋気満つ ゆ
マフに隠せる祈りの指は あ
飛ぶように一日の過ぎる旅の空 な
移民の群れに春の雪降る 犬
地球儀のぼんやりとして花明り み
海うらゝかに風のゆふぐれ だ
起首:2011年 9月25日(日)
満尾:2011年10月28日(金)
捌き:ゆかり
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