掲示板で巻いていた連句が満尾。
緑陰にピアノのやうな男かな 苑を
祝辞さらへばどつと出る汗 ゆかり
匿名の葉書は風に飛ばされて 恵
角の垣根の朝顔の紺 媚庵
十六夜のあけゆく橋を入谷まで なむ
明治節だと言ふ指物師 を
ウ 倶利伽羅を見せあふ仲と囁かれ り
琵琶の音色の届く灯台 恵
昼の雪傘さしてゆく三姉妹 庵
茶々・初・江と銘す絵屏風 む
運命が扉を叩く音のする を
猫のことばも次第に馴れて り
小判型UFOに乗りお買物 恵
光り物見る藤原定家 庵
百人の首並べれば土匂ふ む
ひと夜ふた夜と鳴るかざぐるま を
干満に委ねあしたの花筏 り
空へ突き刺す舵の竹竿 恵
ナオ 鉄柱にヒール・レスラー雄々しけれ 庵
やがて消え去る霊と思へず む
とことはにウヰイルキンソン炭酸水 を
角瓶を割る年増の女 り
池袋駅の地下街彷徨ひて 恵
捕物帰りの半七に逅ふ 庵
筋になき十手を要す詰将棋 む
寝ても覚めても考へてゐる を
地下鉄の車庫の近くを秋の風 り
山河を越えて迫る虫の音 恵
見あげればアポロの頃と同じ月 庵
ジュール・ヴェルヌも太鼓判押す む
ナウ 棚隅に表紙の取れた和佛辞書 を
四つ五つは口語自由詩 り
杉桶の八ツ目うなぎを掴めずに 恵
由来不明の涅槃図を吊る 庵
対岸にけふ九重の花莚 む
小径をゆけば囀りの中 を
起首:2015年 5月31日(日)
満尾:2015年 6月23日(火)
捌き:ゆかり
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