2015年6月23日火曜日

五吟歌仙・緑陰の巻

掲示板で巻いていた連句が満尾。



   緑陰にピアノのやうな男かな     苑を
    祝辞さらへばどつと出る汗    ゆかり
   匿名の葉書は風に飛ばされて      恵
    角の垣根の朝顔の紺        媚庵
   十六夜のあけゆく橋を入谷まで    なむ
    明治節だと言ふ指物師        を
ウ  倶利伽羅を見せあふ仲と囁かれ     り
    琵琶の音色の届く灯台        恵
   昼の雪傘さしてゆく三姉妹       庵
    茶々・初・江と銘す絵屏風      む
   運命が扉を叩く音のする        を
    猫のことばも次第に馴れて      り
   小判型UFOに乗りお買物       恵
    光り物見る藤原定家         庵
   百人の首並べれば土匂ふ        む
    ひと夜ふた夜と鳴るかざぐるま    を
   干満に委ねあしたの花筏        り
    空へ突き刺す舵の竹竿        恵
ナオ 鉄柱にヒール・レスラー雄々しけれ   庵
    やがて消え去る霊と思へず      む
   とことはにウヰイルキンソン炭酸水   を
    角瓶を割る年増の女         り
   池袋駅の地下街彷徨ひて        恵
    捕物帰りの半七に逅ふ        庵
   筋になき十手を要す詰将棋       む
    寝ても覚めても考へてゐる      を
   地下鉄の車庫の近くを秋の風      り
    山河を越えて迫る虫の音       恵
   見あげればアポロの頃と同じ月     庵
    ジュール・ヴェルヌも太鼓判押す   む
ナウ 棚隅に表紙の取れた和佛辞書      を
    四つ五つは口語自由詩        り
   杉桶の八ツ目うなぎを掴めずに     恵
    由来不明の涅槃図を吊る       庵
   対岸にけふ九重の花莚         む
    小径をゆけば囀りの中        を


起首:2015年 5月31日(日)
満尾:2015年 6月23日(火)
捌き:ゆかり

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