2012年4月20日金曜日

七吟歌仙・三月の巻

掲示板で巻いていた歌仙が満尾。

   三月の瞼にいつも故郷かな       ぽぽな
    水平線に及ぶ菜の花         ゆかり
   春風は東でも西でもなくて        なな
    大声を出しタクシー止める      六番町
   月からの使者の行列しづしづと     らくだ
    空を仰ぐは竹伐る翁        まにょん
ウ  バス停の図書館前の霧深し        苑を
    君のヒールが近づいてくる        ぽ
   うちふるへ私はいま霜柱          り
    パイにしようかキッシュにしようか    な
   白亜紀かジュラ紀か知らぬこの地層     町
    スピルバーグの化石もありて       だ
   ともづなは涼しき月の下に解く       ん
    灯火親しむ難問奇問           を
   虫の音の京都の寺に一休み         ぽ
    朝露に濡れスナイドル銃         り
   銀板の写真に映る花一輪          な
    真顔で強くふらここ漕げば        町
ナオ 馬の子は足震はせて立ち上がり       だ
    路上の石に淡き歌声           ん
   ジャケ買ひをして水底に辿りつく      を
    短き夜の胎動はげし           ぽ
   くろぐろと赤方偏移してゐたり       り
    ワ-ムホ-ルを幸子一郎         な
   口ずさむラブ・ミー・ドゥより始まりて   町
    顔が好きだといふプロポーズ       だ
   真夜なれば黄金バットの面つけむ      ん
    たらりとろりと垂れる水飴        を
   代々の秘伝受け継ぐ望の月         ぽ
    夜長を裂ける明子の悲鳴         り
ナウ さはやかに大空翔るビブラ-ト       な
    落下する夢分析されぬ          町
   ゆくりなくフリーズしたるパソコンに    だ
    指の先から暮れる春の日         ん
   ミシン踏む店に吹き寄せ花の屑       を
    鏡の中の女かげろふ           

 


起首:2012年 3月16日(金)
満尾:2012年 4月20日(金)
捌き:ゆかり

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