溜め池に立つや大波春嵐 由良
落つる椿の地になせる円 ゆかり
雛の客シャネルスーツを着こなして 由季
柔軟剤は日なたのかをり 槐
名月を誤答と思ふ押しボタン 大祐
道に迷ひし白帝の夜 けんじ
ウ 異土晴れて八万人の阿波踊り ぐみ
ロベスピエールの目をした男 良
雨漏りの盥の音が遠くなる り
惚れ薬かもしれぬ梅雨茸 季
こひびとよ冷えピタの貼り方が雑 槐
高校生の髷を切るのみ 祐
校庭にサッカーボール忘れられ じ
笛を吹くのは繊き寒月 み
虎に似て二尺足らずの猫を抱く 良
濡れ縁といふゆふべの湿り り
借景の吉野山より花吹雪 季
をみなとをみなふらここを漕ぐ 槐
ナオ 鈍器群ボートレースに撒かれつつ 祐
デカの直感ホシは老人 じ
地球とて宇宙に光る青き点 み
蚤ひねりつつ面壁三年 良
泥団子切つて食みたる石のうへ り
子役の台詞たつたひとこと 季
ラジオ置く張り出し窓の冬ざるる 槐
象徴界を銀世界へと 祐
乗換の小さき駅の屋根長く じ
健さんに似し夜学生ゐて み
照らしあふ名残の月とわれの顔 良
下り簗には水の音ばかり り
ナウ 土手に飼ふ除草のための山羊二頭 季
右の乳房の入れ墨の赤 槐
恋人の肉よ機械になり給へ 祐
次々消える魔界よりこゑ じ
天地の笑みの広ごる花盛り み
旅の果たての沖霞みたり 良
起首:2019年 2月23日(土)
満尾:2019年 3月 9日(土)
捌き:ゆかり
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