「杉落葉地球の底の薄暑かな ざんくろー」をふたつに割って始まった掲示板にて巻いた歌仙二巻が立て続けに満尾。
●六吟歌仙 岬の巻
初夏の地球の底の岬かな ざんくろー
南の風に羽を置く鳶 ゆかり
指揮棒は輪を描き序曲高らかに ぐみ
贋作もある展覧会の絵 あとり
月光のスポーツカーで盗人来 令
斜に反りたるドカヘル案山子 のかぜ
ウ 横顔の曼珠沙華咲きそろひては ー
十四五本もアリス頬張る ゆ
ボクサーの元彼ジャブの優しくて み
をとこにもある乳首とふもの あ
二人には少し小さいバスタブで 令
反比例する孤立曲線 ー
ほうたるが雨引きとりて月もやふ ぜ
箪笥から出す吾子の臍の緒 ゆ
黒髪の奇術ベガスに艶然と み
女神の問へる金銀の斧 あ
よき人によからぬ人に花の降る 令
いたしてをるか殿さまがへる ぜ
ナオ 松平定知告ぐる四月尽 ゆ
生まれながらに時の記念日 ー
バス停のダイヤグラムに余白あり あ
床の間の絵はアボカド一個 み
宅配のピザ屋が笑顔こしらへて ぜ
木喰仏が咳をしたかと 令
宙返り何度もできる自由律 ゆ
たましひだけはいつも真ん中 ー
左右から叩かれてゐる漫才師 あ
和太鼓の音に石榴裂け行き み
鄙里の棚田三四と昇る月 ぜ
行方もしらず草の絮とぶ 令
ナウ 相部屋となることもある神の旅 ゆ
ひとりのときは北枕して ー
入江から離れて浮かぶ測量船 ぜ
甃のうへまで野火のけぶれる 令
石灰の白ひとすぢに花の道 あ
巣立ちの時ぞ夢のそれぞれ み
起首:2010/05/15
満尾:2010/06/06
捌き:ゆかり
○六吟歌仙 杉落葉の巻
しんなりと杉落葉敷く薄暑かな ざんくろー
遠近法でのびる初夏 ゆかり
黒馬の真つ暗な谷渡り来て あとり
銅鑼華やかにキホ-テは旅 七
満月のまるで鏡の浮かぶやう 銀河
化粧廻しもすつかり馴染み ぐみ
ウ ちいママに会ひに行きたる虫の声 ー
来夢来人のとなりはC'est La Vie ゆ
ペディキュアを舐めてごらんと歓喜天 あ
伊藤晴雨の筆痕なぞり 七
大蛸を浮き彫りにする針地獄 河
座頭市なら英訳もあり み
左手のけん玉で突く夏の月 ー
くたびれ果てた緑のフェルト ゆ
唐三彩千年垂るる釉の音 あ
雲雀料理はゆふべの残り 七
郷愁の詩人あゆめる花の岸 河
横目に映る競漕の水尾 み
ナオ 三角のPLAYボタンを押してみる ゆ
踊り始める荻野目洋子 ー
青春の光と影の遠のいて 七
スカイツリーが日に日に伸びる あ
武蔵恋ふお通に涙夏芝居 み
水田に映るつばくろの喉 河
調律の仕事次第に高まりぬ ゆ
関ヶ原より干戈の響く ー
痩せ犬に婆娑羅なドラマ脚色し 七
フローリングに秋扇置く あ
後の月姉の真似するみそつかす み
塀のきはにも細き鶏頭 河
ナウ 悠然と猫の長さで猫歩く ゆ
メトロノームはアンダンティーノ ー
火星での再会約すアロハシャツ み
象形文字に還る淡雪 河
石盤に指滑らせば花咲けり 七
ぐいと紅ひく春は曙 あ
起首:2010/05/15
満尾:2010/06/12
捌き:ゆかり
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