2013年1月8日火曜日

七吟歌仙・黒鍵の巻

掲示板で巻いていた連句が満尾。

   黒鍵の親指ふとき寒さかな      らくだ
    雪に埋もるる耳といふ耳      ゆかり
   ブーメランうまく木立をくぐり来て   銀河
    夕花野へとゑがく半円        ぐみ
   とりどりのチーズを月の供物とし   ジベル
    まちの飛蝗といなかの蝗       苑を
ウ  メールよりテレパシーにて交信す     令
    機嫌の良さを示す低音         だ
   ぶくぶくとしやぼんを溶かす男ゐて    り
    うちの女房にやヒゲがあるのさ     河
   恋猫の声に負けじと身を反らせ      み
    からくれなゐにうすらひを染め     ル
   業平の名を惜しむかに朧月        を
    言問橋に近き寓居に          令
   主より大きな顔で油虫          だ
    覚めねばよかつた気がかりな夢     り
   散る花の時を知らせるオルゴール     河
    名残の雪の三たび四たびと       み
ナオ 晩春のなみだ海豚にペンギンに      ル
    ボーダー柄のTシャツを買ふ      を
   いく重にもくるむボトルと変圧器     令
    帰路は閉まらぬトランクの蓋      だ
   自分発宅急便の不在票          り
    賞味期限はけふまでとある       河
   あしたばの薬効敬老日に説いて      み
    祭の爺の死守するセンター       ル
   白球の消えたところに秋夕焼       を
    月ついてくる神社への道        令
   闇のものすべて暴いて照魔鏡       だ
    雨季のいのちの谷戸のざりがに     り
ナウ 歓声にキャンプファイアー燃え上がる   河
    ムンクの描く口のおほきさ       み
   記憶にはケースの中のコップしか     ル
        淡き陽ざしに乾く春泥         を
   鉄棒にとどきさうなる花の枝       令
    卒業の歌満つる学び舎         だ


起首:2012年11月17日
満尾:2013年 1月 8日
捌き:ゆかり

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