2013年1月26日土曜日

ホーム・スウィート・ホーム4

ところで露結さんの句にはいかにも「銀化」的な句もあります。

反故にして反故にしてみな牡丹に似 山田露結
空は海をたえず吸ひ上げ稲の花
たましひが人を着てゐる寒さかな


 こうした鮮やかな見立ての句の反面、もう一方では人生のどこかで虚子を徹底的に読み込んだであろうことも感じます。

金亀子擲つ虚子の姿かな      山田露結
たとふれば竹瓮のごとき我が家かな
冷し馬人語を以て相通ず


 直接的なパロディのみならず、先に挙げたようなリフレインの句では、虚子の一部の側面である「茎右往左往菓子器のさくらんぼ」「彼一語吾一語秋深みかも」などのメカニカルで複雑なリズムからの遠い影響も感じます。

 そうした、師系としてもハイブリッドで、虚像や複写によるたくさんのものが入り混じった多面的な山田露結ワールドを形容して、以後「ロケティッシュ」と呼びたいと思います。




0 件のコメント:

コメントを投稿