秋霖や墨の匂へる銀座線 振り子
跳ね上がりたる吊革の冷え ゆかり
月見酒ひとり身の夜を霏霏として ざんくろー
鏡に映る楽器のケース 美代子
はつなつの尻尾くるりと巻いてをり 苑を
噴水の輪の痩せてふとつて ぐみ
ウ 港の見える丘公園のAランチ 振
なんだか読めぬ黒板の文字 ゆ
着ぶくれた物理教師の老眼鏡 ざ
けむりのやうに咲く白椿 美
虻飛んで市川崑のメガホンへ 苑
誰ぞささやく草餅いかが ぐ
ふたりして泣くはトクホン剥がす時 振
蚊遣の豚にずつと見られて ゆ
からませた指をほどけば月涼し ざ
死刑存廃議論再燃 美
湧き出づる花の雲居に迷ひ込み 苑
お巡りさんも朝寝好きとか ぐ
ナオ 亀有のあちらこちらに亀鳴いて ゆ
急いで歩く一休禅師 振
吊橋で翼をつけて変身す 美
臼井儀人は銀漢となり ざ
描きかけの筆洗に散る秋桜 ぐ
途中下車して夜学に通ふ 苑
先生のじつに若くて綺麗にて ゆ
ワクチンの数足りさうもなし 振
有耶無耶のままに柚子湯に首浮かし 美
金魚となりて口をパクパク ざ
銀閣寺月よりの使者定宿に ぐ
萩を零して駆るオートバイ 苑
ナウ 豆腐屋を追ひ越して行く秋の暮 ゆ
波立つ海のシルクロードも 振
ちりめんの半襟の色あれこれと ぐ
木魚を叩き逃水の昼 ざ
千年の花はしづかに吹雪くなり 美
春の嵐のあとのあかとき 苑
起首 2009年 9月15日(火)23時41分39秒
満尾 2009年10月 9日(金)00時04分29秒
捌き ゆかり
(振り子さんのsatin dollで突発的に始まった連句が満尾致しましたので転載させて頂きました。)
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